カヌー体験教室に参加して

今城律雄

6/27(日)の全員集合日にレクリェーションの一環としてカヌー体験教室を行いました。当日はカヌー経験のある会員の小川定雄氏と中村功氏および滋賀県カヌー協会の方にご指導いただきました。天候にも恵まれ、絶好の「沈?」日和で、約10名の会員が参加しました。

実はブレードは非対称

最初にカヌーについて簡単な説明を受けました。競技用カヌーは、パドルの両端にブレードがあり、カヌーに座って、左右交互に漕ぐ「カヤック」と、パドルの一方にのみブレードがあり、カヌーに片膝をついて漕ぐ「カナディアン」に大別され、カヤックはエスキモーの生活道具として北方で発達し、カナディアンは南方で発達したものであり、ルーツ自体が異なること、カヤックは男女競技があるが、カナディアンは男子のみの競技であるということ。まずパドルの持ち方、動かし方を教えていただきました。ここで初めて知ったのは右利き用と左利き用のパドルがあるということでした。ぱっと見たら同じように見えますが、確かにパドルのブレードが非対称でした。ボートのビッグブレードと同様で、一体どちらの方が先に非対称を導入したのだろうかなどと考えてしまいました。さらにパドルは「引いて」漕ぐのではなく、「ブレードと反対の手でパドルを「押す」ことによって漕ぐということを教えていただきました。なるほど、それでカヌーの選手は大胸筋が発達しているのだなと再認識するとともに、ボートもぱっと見た目では腕で漕ぐように見えるが、実際はむしろ脚で漕ぐ(押す)のといっしょなのかなと思いました。

いざ湖上へ

参加者全員がカヌー初心者であったこともあり、カヤック艇の中でもバランスのとりやすいポロ艇(カヌーによる水球競技で使う艇)を準備していただきました。乗り込み方を教えていただき、いざ湖上へ。乗り込むときに一人くらいは沈するのではないかという心配(期待?)もありましたが、さすが、そこは全員がシングルスカルを漕げるだけあり、問題なく、湖上へ出ることができました。初めてカヌーで湖上に出た感想はボートに比べて重心が低く、バランスがとりやすそうだが、アウトリガーがないため、思っていたよりもバランスが取りにくいこと、ボートに比べ、水面が近く、水の存在を身近に感じられることが新鮮でした。それから何よりも安心できるのは進行方向を見ることができ、追突の心配がないことでした。進行方向を見ながら漕げるので、自分の意のままに、思う方向に進むことができると思ったのですが、これが大間違い。いざ漕ぎ始めると、「ん、おかしい???」。全く艇が真っ直ぐに進まない、というよりくるくる回転してしまう。いったん回転運動が始まると、パドルを右で漕ごうが、左で漕ごうが、無関係に同じ方向に回転してしまう。漕ぎ方が悪いからだろうが、ボートで言えばバウサイドあるいはストロークサイドの一方で漕いだら片方に進むのに、ボートの常識が通用しない。「まわって、まわって、まわーるー」思わず円広志の「夢想花」が頭を巡りました。しかし、そんなのんきに歌っている場合ではなく、雨上がりで、流れていたせいもあり、回転しながら徐々に流されていってしまいました。漕艇場から乗り込んだはずが、気が付いたら水道橋付近まで流されていました。「このままだと戻れないぞ」と心配になり、回転を止めようとしたときに、水が艇内にばしゃばしゃ入り込み、気がついたら腰まで水につかっていました。私の惨状を見かねた小川氏が携帯式の手動水汲みポンプを使って水を吸出し、どうにか難を逃れました。このポンプはボートでも使えるのではないかと思います。そんなこんなで、どうやったら真っ直ぐ進むかということを考えながら漕いでいたのですが、なかなかうまくいかず、結局艇が回転を始めると艇の回転を止め、それを繰り返しながら、徐々に船台へと戻ることができました。

次は競技用カヤック

船台に上がり、ポロ艇でだれも沈せずに漕ぐことができたので、次に競技用のカヤックシングルに挑戦しました。坂本氏が最初にチャレンジしましたが、ポロ艇とは全く違って、すごくバランスが取り難く、まずは沈しないようにバランスを取るので精一杯という感じでした。しかし、テクニシャン坂本氏は沈することなく、無事船台まで戻ってきました。中村氏は初めて競技用カヤックに乗って沈しなかった人を初めて見たと絶賛していました。次に黄瀬さん、斉藤さんがチャレンジ。二人ともバランスを取るのがうまく、黄瀬さんも沈せず、斉藤さんは一度沈したものの、再度乗ったときには全く危なげなく、意のままにカヤックを操っていました。それに対し、男性群の嶋田氏、丸岡氏、今城の3名は船台から出た瞬間に沈を繰り返し、何度もチャレンジするものの、競技用カヤックの難しさを自らの体を以って実感させられました。中学や高校からシングルススカルを漕いだ者と、20歳を過ぎてシングルスカルを漕ぎ始めた者は根本的にバランス感覚が違うのかなと思ってしまいました。

総括

今回、初めてカヌーに乗せていただき、同じ水域でも普段ボートの上から眺める景色とはまた違った景色として感じることができたことは新鮮な体験でした。また競技用ボートより競技用カヌーの方が体の重心が低いからバランスが取りやすいのではないかという認識は間違いだったことに気付きました。しばしば漕艇場や瀬田川で沈しているカヌー選手を見て邪魔だなあと思ったりしていましたが、何気なしに漕いでいる人たちがむしろすごいのだなということに気付きました。カヌーを自ら体験することによって、同じ水域で練習しているカヌー選手の気持ちの一部を理解することができた気がします。

さて、先月の会報でも記載されていましたように、今年のHead of the Setaは新たにカヌーの部を行うことになりました。同じ水域で活動する仲間として、また艇をパドルを用いて自力で漕ぐ同じ「漕艇」というスポーツ仲間として、いっしょにレースを楽しむことができることができれば面白いなと思っています。事前準備や当日役員などを会員のみなさんにお願いしますが、倶楽部を挙げて大会を成功させるためにご協力して下さい。

最後に、カヌー体験教室を行うにあたり、ご指導いただいた小川氏、中村功氏、そしてカヌーおよびパドルを無償で貸していただいた滋賀県カヌー協会に厚く御礼申し上げます。今回は10名弱の参加でしたが、次回行うときにはもっと多くの方々に参加していただき、楽しんでいただければ思います。

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