全日本ジュニア

相馬瑛美

お久しぶりです。

去年もこの機会にちゃらんぽらんな文章を書かせていただいたえみおです。

「じゃあ、今回もそうなのか?」

6月8日(水)

朝5時頃、ハルねぇことはるちゃんに(あのお寝坊さんに!)お見送りをしてもらった。しかもメッセージ付きの差し入れをそれぞれ(剛健さん、青地、そして私)にfor you してくださった。まことに愛らしい。すんません。

移動中は二人に会話をまかせ、ボーっとしていた。後に分かることだが、これを京都選抜では「烏合の衆ごっこ」というらしい。一人だったら「烏ごっこ」なのか。なるほど、確かに色は黒い。

なんやかんやで、昼過ぎに班蛇口湖に着いて早速リギングを。去年はあまりよろしくなかったので、今年こそ!リガーを入れる場所は間違えたものの、それ以外はうまくいった。艇を一人で担ぐ練習もしてみた。言うなれば私の上体の使い方と同レベルかな。

とりあえず水に浮かんでからは、引け目を見せないように見栄をはって剛健さんによしとされた(?)ノーフェザーでひたすら漕いだ。コースコンディションが非常によかった。順風で。

夕食後ごけさんが蛍を見に連れて行ってくださった。蛍は飛びながら点滅できるのがすごいと思った。私は飛ぶこともまして光ることもできない。うーむ。

宿に戻って一人ぼっちなのも今回が初めてなので、不安…と思ったら朝になっていた。

6月9日(木)

朝ごはんの時間になっても2人は降りてこない。剛健さんは昨日の運転で疲れていたとしても、青地は?寝起きが悪かった(青地:まじで疲れてたんやって!)。

その日は「4kmアップしてスタートとスパートをやる」と言われた(聞いていたはずだ)のにも係わらず、2000mのコースを2往復アップして(さすがにアップ疲れした)さらに1往復プラスでメニューをやった。寝起きが悪いのはどっちやねんてか。

もう大抵の選手は現地入りしていた。ジュニア合宿で一緒だったみんなは緊張しているのか話しかけてくれない。自分からアプローチすべきか。

唯一、明日の予選であたっていると思われる若狭高校のゆーこりんは 「うまぁー、明日あたっとるんよねぇ」
「そぉなんや!」…やっぱり。
「まじ嫌なんやけどー」
選抜で女子2×準優勝がそう嘆く。

んー、口で嫌とかいいながら内心思ってない人もいるけど…。試合前日の私の警戒心も快いものではなかった。と思う。

練習後お風呂に入っているときに同じ宿のかずほには
「うまねぇ、乗ってるとき別人なんだよねぇ。」
「なにがやねん…」
「陸上ではフレンドリーなんだけどねぇ、乗ってるとき話しかけんなっていうのでてるよ。」
Ouch!わたしから友達の縁を切っていたのか!明日からアプローチ作戦始動だな。

開会式の夜、明日は試合なので気持ちを整理することにした。

まず、何のためにここにいるのか、本当に自分が代表になりたいか、明日はどうしたらいいのか。答えは簡単だった。本気でやってあかんかったらそれだけや。…うふ。

6月10日(金)

いよいよ予選の日。青地はかなり緊張している様子だった。青地は「順調にいけば普通に上がれる」あたりらしい。私は「よく知らないから頑張ってみよう」というあたりだった。

アップの場所でみんなは指定されたとおりにはやっていなかった。だれか一人が間違えて、みんながそれに従ったらしい。コーコーセーなんてそんなものね。

スタート2分前と言ったところで「計測器の調整のためいましばらくお待ちください」

すでに遅れているレースはさらに10分ほど待たされ、心臓停止のままスタート。2レーンあたりの人に出られてそのまま終わった。

今更ながら告白してしまうと、最近レースで本気を出したためしがない。こんなことをいうのもどうかと思うが、最近は本当にない。わざと出さないでおこうとかでなく、出してしまうのが恐い。後のことを考えれば考えるほど不安でたまらなくなる。目標を見失ってしまうのでは…?

そもそも私はタマちゃんについてきた。

あんなにわがままで、あんなに自己中心的な人は見たことがなかったから、なんとかして一回打ち砕いてみたい!とあのワールド規模の強さに本気で敵対心を抱いたものだ。

タマちゃんを目指し、タマちゃんの通ったジュニアを目指し、世界を目指し…そんなに永遠と頑張れるか。私は強くなり続けるには違いないけれど、ある日満足したといって急にヤメルなんてまっぴらごめんなのだ。…青年期かしら。

敗復のレースは結構追い込んだ。レース中「はよぬかせや」といつも思うのだがだれも来てくれなかったので一人で逃げた。

青地は無事あがった。でも「あんなレースやったら準決勝もあかんくなる」と深く反省していた。

6月11日(土)

準決勝。

この日、本を買った。とても写真がいい本で、いい言葉が書いてある。

Dream as if you'll live forever.

Live as if you'll die today.

(永遠に生きるがごとく夢を見ろ

今日死んでしまうがごとく生きろ)

- by ジェームズ・ディーン

Aha!これによって私のアイデンティティは確立された。

ここで1位になればジュニア決定、2位になればBファイナル進出という試合で宇和島東の末廣ちゃんと関西電力小浜の杏つ実さんとあたったぞーっと。それでも末廣ちゃんがどんな試合をするのかはすごく興味があった。スタートだけでも勝てへんかなぁ。と思いワクワクしてスタートしたら、ブイパコした。末廣ちゃんはどんどこはなれて行く。それでも3番やったのでそのままいってみた。1000mまでは3番だったのに1750mではベベだった。この試合は自分の中でも嫌やった。書いていても嫌になる。ごけさんは目が腐ったと思っただろう。むしろ見てないかも。

青地は厳しいあたりだった。でも出し切ったといっていた。実際1500mではベベだったのに最後は2秒つけて5位だった。

6月12日(日)

決勝。

私は21位〜24位決定戦に出る。今日は熊学のたれぞぅとあたっている。

彼女は合宿で最も仲がよかった。はず。

昨日買った本のおかげで私はまたワクワクしていた。ましてやたれぞぅが相手となれば楽しみに顔が緩む。スタートしてしばらくは並んでいた。それから例の癖がでてどんどん取り残され、それでも昨日みたいにはなるまいと最後は上げてみたりもした。

決勝の最下位はわたしによって剥奪された。

青地は17位〜20位決定戦で1位だった。決勝だというのにかなりの水を空けて。

帰りの車で青地はしきりに「頑張ろうな!」と言っていた。私はその度に「頑張れ!」と答えた。

それを否定された辺りで、私は来年も青地とJOCに出るらしい。

剛健さんは「手ぶらで帰るんは初めてや。」と言ってため息。いや、ため息が先かな。

今回もこうして多くの人を裏切り、また多くの人の助けを求めるえみおは呆れるくらい前向きに次の国体を目指しています。もちろん本気で。青地はI.Hにスカルで出ます。たしか。

今回応援していただいた皆さん申し訳ありませんでした。なによりも、連れて行ってくださった剛健さんありがとうございました。いつかあなたを世界一有名なコーチにしてみせます。

と青地は言っています。私も思っています。

[登場人物紹介]
  • 若狭高校のゆーこりん→水本裕子さん
  • かずほ→山口一穂 市立川口高校のこと
  • 末廣ちゃん→末廣あすみさん
  • 関西電力小浜の杏つ実さん→大橋杏実さん
  • 熊学のたれぞう→熊本学園大付属高校 櫻井春菜さん

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