ローイングと科学

イスタンブールで行われた世界ローイングフォーラムでローイングに関する研究発表が行われた。

イギリスのValeryKleshnev博士はボートの艇速について研究し続けている。彼はイギリスで1836年から開催されているヘンリーレガッタの結果を利用しており、年々艇速は伸びていることを証明した。

ボートの艇速は1990年代前半まで器具やトレーニングの改良で飛躍的に伸び続けてきたが、96年ごろからはドーピングの規制が厳しくなったために記録が伸び悩み始めた。

Kleshnev博士はこの傾向を、水泳、陸上(3000m走)などと比較し、同様の傾向が見られることを発見した。また、このスピード変化の傾向はそれぞれの艇種によって異なっているが、今後も少しづつではあるが改善されると考えている。「まだ見ぬトレーニングやテクニックがあるはずだ。」この150年で最も艇速が改善されているのは男子フォアである。

またKleshnev博士は両立させることが難しい“ストロークレート”と“ストローク1本あたりの移動距離”の関係についても注目している。アテネオリンピックの男子フォアで確認すると、スタートとラストでストロークレートが高くなり、中盤でストローク1本あたりの移動距離が最も高くなる。

デンマークのNeilsSecher博士は練習中の脳の働きや筋繊維の反応について研究している。「疲労が残っている状態では、ゆっくりとした筋繊維の動きに対する能力は低下するが、速い動きに対する能力は低下しない。」

ゆっくりとした筋肉の動きに対するトレーニングが必要なのか?という問いに対してSecher博士は「ストレングストレーニングはとても特殊なものである。典型的なウエイトトレーニングではなく、ローイングのための筋肉それ自身を鍛える手法が重要だ」と言う。

またSecher博士はトレーニングの環境についても述べた。混雑した場所でトレーニングを行うと、その環境に適する必要があり、筋肉への刺激ではなく、脳へのストレスが問題となる。

スウェーデンのPerTesch博士はストレングストレーニングについて、はっきりとした効果について言及していないが、「もしバランスが悪ければ、ストレングストレーニングが漕手の持久力に悪影響を与えることも有り得る。」と述べている。また、ほんの少しのエクササイズでも充分に筋肉の能力を維持することが出来るとも述べている。

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