近畿安全講習会レポート

今城律雄

今年から滋賀県ボート協会の安全普及委員になった関係で,毎年近畿ブロックで行われている安全講習会を私と京都ボート協会の安全担当者で開催することになりました.今回どのような内容にすべきか悩みましたが,時間の関係上,漕艇場や各団体の安全に対する取組みに加え,桑野造船の今次さんに「造船メーカーの視点から」安全に関するお話をしていただきました.以下,講義の内容について簡単に紹介いたします.

なお,瀬田漕艇倶楽部においても毎年安全講習会を実施していますので,必ず参加して下さい.また漕艇場の赤白ポール沖合い50mは逆行(ゴールからスタート)であることを知らずに,時々順行している方がいますので特に気を付けてください.最近,寒い日やコンディションの悪い日が続きますが,自然を甘く見たり,自分の技量を過信せず,安全第一で練習に取り組んで下さい.

【漕艇場(村田氏)】

漕艇場にAED(自動体外式電気的除細動器)を設置した.漕艇場の職員は操作可能.AEDについては「漕艇通信2005年2月号の黄瀬さんからも紹介されています.

救助艇の航行について:救助艇の旗は各団体で準備する(経費削減で水上警察からは入手できなくなった).南郷〜近江大橋間は7ノット以下,但し,消防や救助の時は免除される.モーター運転手はライフジャケットの着用および免許証の携帯を励行する.船検番号を表示すること. 漕艇場の航行ルールについて:船台の掲示板やクラブHPにも掲載していますので,厳守して下さい. 〔平常時〕 岸側3レーン(4,5,6レーン)は順行(スタートからゴール),沖側3レーン(1,2,3レーン)および赤白ポール沖合い50mは逆行(ゴールからスタート) 〔夏季期間(7/20〜8/31)〕 全レーン順行.但し,岸側3レーン(4,5,6レーン)はボート専用,沖側3レーン(1,2,3レーン)はカヌー専用.なお,コースにブイが入っているときは全レーン順行. 〔吹流しについて〕 黄色:南郷洗堰放流量300トン/秒以上,赤色:南郷洗堰放流量700トン/秒以上,水色:レースのため漕艇場を占有中.

【審判部(関西ボート連盟審判長:星氏)】

2006年度からFISAに合わせて競漕規則が変更される(日ボHPに掲載予定). 号令(5minutes-4minutes-2minutes-attention go),発艇員の指示があるまでスタート位置に入らない,到着申告不要,2分以前にはスタートできる体勢を取っておくこと,スタート100m以内でクルーからアピールがあった場合はレースを止める(国際ルール?)等. なお,補欠の取り扱い,レースの救命具所持の義務については,近い将来に変更になる可能性がある.

【造船所から見た安全対策(今次氏)】

【立命館大学】

シングルスカルで出艇の際は,必ずペアを組んで出艇している. 南郷洗堰が全開放流時は出艇禁止. 夏場の日差しの強い時は帽子着用を義務化.

【神戸大学】

安全対策に真摯に取り組んでおり,参考にすべき点も多かっただけに,発表の準備不足が残念だった.

安全対策会議(月1回):安全指導担当者,コーチ,部員による事故報告.

安全確認日:救命具の状態等を確認.

練習時,事故が起きた場合に対応できるように,合宿所は無人にしない. 乗艇時には救命具を必携,特に水温が10℃以下になる12-3月の間はセンサー付き(水に濡れたら膨らむ)のマリンポーチを携帯する. 沈実験を2年ごとに実施している.

【高島高校(白井先生)】

安全対策は「事故」と「故障」に大別され,「故障」は「艇」と「人間(怪我)」に分けられる.練習時以外の怪我にも気を付ける(艇庫までの往復も含め). 練習時は必ずライフジャケットを装着(中学時代ライフジャケット着用で練習していた選手が多いので,抵抗感がない).試合時はウォーミングアップはライフジャケット着用,レースは外す(レースでは転覆しても審判艇が救助するので不要). これまでの経験から,特に大会時に事故が起きる確率が高い(水域の違い,精神状態が練習時と違う).

【海洋高校(多村先生)】

人の話を聞かない人や,無責任な行動をする人が事故を起こしやすい. 小艇練習のときは救命具を必携. 同一水域の団体が一定時間に集合し,同じ水域で練習するようにしている. 乗艇中,救助艇とマネージャーは必ず携帯電話を携帯している.

【瀬田漕艇倶楽部(今城)】

クラブにおける安全対策を紹介.事故報告書(アクシデントレポート)に加え,最近クラブ内で事故直前回避報告書(インシデントレポート)提出をお願いしています.最近提出していただいた内容を以下,紹介します.

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