コップとスピック

イズトック・コップはスロベニアでは、ボート以外の競技も含め、最も成功を収めたアスリートである。ルカ・スピックは将来コップの後を継いで国を代表するアスリートになると目されており、この二人は2005年のFISA男子クルーオブザイヤーに選出されている。

コップはユーゴスラビア時代からジュニア選手権のタイトルを取るなど活躍し、スロベニア独立後は国内で初の世界選手権優勝を国にもたらし、オリンピックに四回出場し、三度メダルを獲得した英雄として知られている。

スピックは16歳でオリンピックを経験し、コップと組んだダブルスカルで19歳の時に世界選手権優勝、その翌年にオリンピック優勝を成し遂げている。この二人はアテネオリンピックは銀メダルで終わったが、2005年世界選手権ではダブルスカルで金メダル、クオドルプルで銀メダルを獲得している。
以下、コップとスピックへのインタビューより抜粋

インタビュワー:ロウイングを始めたきっかけは?
コップ:ロウイングを始めるまではいろいろな競技をやっていました、水上スキーなんかもね。高校生になってからはロウイングを専門的にやり始めました。クラブまで一時間かけて通っていたので、友人たちとは疎遠になってしまいましたが、その代わりに得られた物もあります。
スピック:僕はバレーボール、それから陸上競技をやっていて、母に勧めれて13歳のときにロウイングをはじめたんだ。実は1992年のオリンピックを見るまでは、この競技の存在自体知らなかったんだよ。

インタビュワー:イズトック、君はクロスカントリースキーの実力もすばらいしいものだそうだけど?
コップ:そう、ロウイングを始めるまでは一番のめりこんでいた競技ですね。冬期トレーニングではいつもスキーをやっています。昨年は五ヶ月間スキーだけをやっていて、それが今シーズンいい形で成果が出ていると思います。

インタビュワー:冬季オリンピックにスキー選手として参加する予定があったのは?
コップ:そのことを表明はしていましたが、技術が未熟で、体力は問題ないんですが。

インタビュワー:スロベニアではあなたはどんな事を期待されていますか?
コップ:国では私がメダルを獲得することは当たり前に思われていて、もし取れなかったら皆がっかりするでしょうね。メダルを取れば、テレビや新聞で大きくとり上げられます。

インタビュワー:スロベニアでは有名人なんだね?
コップ:街中で声をかけられたり、サインを求められることもあります。ロウイング自体がよく知られているので、レース結果なんかも知っているんですよ。

インタビュワー:周囲の人たちは君の事を誇りに思ってる?
コップ:家族は非常に誇りに思っているみたにです。でも友人とは特に変わりない関係を続けていますよ。

インタビュワー:二人はどういった形で生計を立ててるのかな?
コップ:レースの結果によってスポンサーや政府から援助金がでますが、それだけでは十分とは言えません。Concept2やFilippiの代理店なんかもやっています。
スピック:僕はボートだけで生活しているんだ。所属しているクラブと政府、それから個人的に契約している会社からのサポートで生活してるよ。

インタビュワー:どんなトレーニングをしているの?
コップ:冬はロウイングはあまりやりません。でも、夏は一日に2、3時間の練習を二回やります。エルゴメーターを使ったトレーニングは少ないですね。エルゴ測定は今まで2回しかやった事がないんですよ。ベストタイムは2000メートルで5'49です。
スピック:夏は6:30に起床して2時間の練習、夕方は6時から2、3時間の練習それから夕食、たまにビールを飲むときもあるよ。

インタビュワー:イズトックとのダブルはどうなの?
スピック:コップがクルーリーダーで、レース中も指示を出すんだ、最も一言くらいしか喋らないけどね。レース前にはコーチと三人でミーティングをする。僕にとってコップは良いアドバイザーだね。僕らはお互い競い合ってもいるんだ。毎年僕はコップに追いつき追い越そうとするけど、彼も僕には負けないように頑張る。

インタビュワー:コップ、スロベニアには君にとって代わるような選手は出てきそう?
コップ:スロベニアにはレベルの高いジュニア選手がたくさんいますが、ルカがそうなる唯一の選手だと思っています。

インタビュワー:これからの競技生活の展望は?
コップ:これからも競技に関わっていたいけど、コーチになる気はありません。シドニーの後、引退しようと考えたのですが、二ヶ月後に競技を続けることを決意しました。とりあえず北京オリンピックが当面の目標です。メダルへの可能性がある限り競技を続けたいです。
スピック:北京で最高の結果を出したい。ロンドンオリンピックも視野に入っているけど、すべては北京が終わってからだね。

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