ジャンニコーチレクチャーレポート

井上 亮

 今回ナショナルチームのジャンニヘッドコーチが瀬田に来日し、瀬田漕艇クラブのクラブハウスで講演があり、氏のトレーニング、テクニックの理論を聞く機会に恵まれました。通訳はわれらが坂本剛健コーチで、さすがでした。氏の説明は非常に論理的でわかりやすく、イラストなども用いて丁寧に解説が行われました。

たとえばRowingのスタイルについて紹介します。世界選手権などのDVDを見て、トップ選手の中にもいろいろなスタイルの選手がいるんだなあと思ったことはありませんか?わが国では以前より、骨盤を立てて漕ぐのがいいと言われていましたが、世界のトップ選手の中には骨盤が寝ている選手も多く存在し、そのような選手を見るたび、私はいったい何が「正しい」のか常に頭を悩ませてきました。「デンマーク人骨盤寝てるじゃねえか!!」みたいな。クラブ員の中には同じ問題で頭を悩ました方もいることでしょう。

それを氏は、漕法の歴史から解説し、日本人の身体的特徴(胴長短足)を考慮した上で、Fairbanのスタイル(キャッチ姿勢で骨盤から前傾させる。骨盤を大きく動かすなど。)を選択したと説明されました。そして、「どの漕法が正しいかということではなく、国として、ひとつのスタイルに統一することが重要なのだ。」と強調されました。

これはわたしにとってはまさに目からうろこでした。聞いていた多くの方の中にもそう思った方はいるでしょう。

その後も氏のトレーニングの理論などの説明があり、何故評価エルゴ漕をするのかなどの説明が行われました。また、運動生理学の解説では、それは断片的なものだったでしょうが、氏の広範な生理学の知識をうかがわせるものであり、やはり世界の「トッププロ」であることを認識させられました。そして、自分のトレーニング理論にしたがって練習を積めば必ず進歩するというプロとしての絶対的な信念を感じました。

今回の講演はとても興味深く、この手の講演の中では今までで一番おもしろかったです。これがきっかけとなって氏の考えが全国に浸透し、日本の指導が統一されて、もっと世界レベルへ近づいていったらいいですね。

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