創立30周年に寄せて

内田 徳

悲喜交々の憶ひ出と共に創立30周年を迎えられたことは 誇り高いことと、会員一同と祝ひたく思います。この時期を利用してクラブの将来に対して提案と苦言を呈して心の緒を締めたいと思います。 復古を賞賛する心算は無いが、元来ボートというスポーツはヨーロッパでは古くから精神的貴族(紳士的)のスポーツと考えられ、古いクラブを訪れると、その歴史と品位を感ぜざるを得ません。わがクラブもNPOとして、今後、総合スポーツ倶楽部を目指しているからには、その母体をどこまでもボートの精神を基礎にして、金儲けを追及する現在わが国のなり上がり的な下臈な根性を持たず、どこまでも企業化せず、品格のある、堂々としたスポーツ団体でありたいと考えている。

漕艇通信3月号(No.357)で三宅一雄氏のご寄稿“脚下照顧”を拝読したが、将に「一を以って万を知る」である。最近日常の挨拶さえ出来ない一部のクラブ員がいるのも事実である。自分の行動に責任をとらず、他人に不快感を与えるようでは決して善い倶楽部は期待できない。

そこで思いつくのは最近の小生のボートの保管の問題である。病気で約一年倶楽部から遠ざかっていたのは事実であるが、先日久しぶりに出かけると、小生の艇は無断で移動され、それのみかキャンバスに大きな損傷が加えられていた。一昔前のクラブ員は、そのような自己を起こした場合、早速オーナーに連絡を取り、事情を説明し、謝罪をしたものである。何の処置もとらず、知らぬ顔である。恥ずかしいことである。猛反省を促しておく。最近は艇の数も増え、管理も十分に行われず、お互ひの連絡もとれない。艇の取り扱いもお粗末で。桟橋に置かれたオールを平気で跨いで歩き渡り、艇の移動尾軽率で不注意も甚だしい。

一朝一夕では出来ないが、30周年を期に、もう一度、皆で考え直し、健全で風格のある倶楽部の発展に進もうではありませんか。

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