サプリメントのおおウソ

我々のボート界の通説と俗説に挑戦すること第3回目となりました。私の挑発に対して各方面から冷静な疑問が寄せられる度に「気合い」も萎えそうになる時があります。しかし、負けられまへん!!今回もアクセルをグーっと踏み込んでいきます。テーマはご要望に応えてサプリメントにしました。反論は瀬田R.C又は古川まで。

サプリメントとは栄養補助食品と定義される。オヤジクルーのビールは限りなくドーピングに近いサプリメント?だが今回の議論の対象外とする。

いったい食事の外にこれらを摂って何を期待しているのか。一番の問題はサプリメントに競技力向上効果を求めるまでに期待がエスカレートしていることにある。競技力向上効果のあるものは既にドーピングとして禁止されている。つまり”屁”みたいなものの集まりの総称がサプリメントである。少しでも強くなりたいという選手の心理を巧みについた広告を見るたびに私は怒り狂っている。

ヤメロ!こんなものを勧めるコーチがいたら食品会社か薬品会社のの廻し者と思えばよい。あなた自身が賢明なコーチや選手と思うなら「すっぽんを食べたら粘り強くなる」とのたぐい話を信用しないことだ。 スポーツ選手が食事において平衡をとる必要のあるものは

激しい消費が行われるスポーツでは食事からだけでは必要な栄養が摂れないことも起こりうる。この時に限って目的を絞ったサプリメントを使うのは効果がある。しかし、先ずサプリメントありきではなく可能な限り、食事から摂る努力が優先されるぺきである。サプリメントに使うお金は食費に廻して食事を充実させてほしい。なにい!!「食事を作る時間が無い」アホか。そういう連中に限って即席ラーメンを食って、サプリメントをやっている。

例えば炭水化物が大量に必要なときに精製した澱粉(ラーメン)砂糖(お菓子)だけで摂ったらどうなるか。さすがにそんな人はいないが蛋白質不足の対策のためにプロティンやアミノ酸を飲む選手は日本中にあふれている。

人工の精製食品に頼ることは自然食品に含まれている繊維や、解明されていない微量の栄養素を摂るチャンスを放棄することだ。

人工飼料で育った鮎が川に放して仲間との縄張り争いに勝てるのか。また、そんなニワトリがうまいのか。その体で野原を走れるのかと尋ねてみたい(ちょっと話が違うかな)

日本食はバランスがよいと言われていて、充足率が100%を越えない栄養素はカルシウム・鉄くらいらしい。筋肉を使うスポーツ選手なら蛋白質も注意しないといけないだろう。蛋白質をとるためにプロティンとかアミノ酸ではなく肉を食べることは鉄を摂る機会も作る。ただ肉は多量の脂肪が同時に入ってくることになるので工夫を要する。

ボート選手の食卓にはカルシウムのための牛乳と鉄の吸収を助けるためのオレンジジュースが追加準備されていればよい。

食事時だけでなく、常時最も大切なことは水分補給である。昨年日本の軽量級ナショナルチームの強化合宿においては、トレーニングの前後に体重を測定してマイナス1.5%の体重減少にとどめることを目標とした。

これ以上体の水分が失われた状態では質の高いトレーニングが望めないとの理由である。また、練習後に一気の大量飲水は体液の電解バランスを崩してしまい、回復に時間がかかる。少しずつ小刻みに必要な分量を飲むことだ。艇を廻すときも片手で漕いで片手でボトルから水を飲ませた(給水のたびに練習を中断したくないため)減量を目的に常時水分を控えたり、着込んで汗をかくことは害があって益は無限に零に近い。

サプリメントを検討する場合のポイント
1.サプリメントを考える前に食事の改善と食事環境の整備をしよう。
  • 栄養指導をしてくれる人を探したり、食事内容を充実する。
  • 練習後はボートハウスでうろうろしないで早く帰ってお母さんの作ったうまい飯を早く食べる。勝ちたいなら、タイミングよく食事をとるため近くに住むことだ。
2.サプリメントの選択
  • 足りないものだけを補充する。すべての栄養をサプリメントに求めたら財布はパンクする。
  • ビタミン類においては過剰摂取が害になることもある。
  • 競技力向上をうたい文句にしたものには注意を要する。

減量中の食事は総量が減るので栄養素の欠落が起こり易い。さらに減量の必要から解放されたシーズンオフにリバウンドを起こして体重を増加させ過ぎることが多い。そのために次のシーズンに余計な減量苦と栄養不足危機を招いて競技力向上の妨げになっている例が実に多い。シーズンオフのコントロールが次の成果にかかわることをよく理解させるべきである。サプリメント以前の処理課題である。

また、成長期(高校生)の減量とか体重コントロールは著しく危険が伴う(このためにジュニアには軽量種目はない)。成長期では長育・量育とも増加しつづけることが自然で健康の条件となる。

以上、充分に食事に注意が払われているならサプリメントの占める存在は競技力においてとるに足りないものである。サプリメントにはまってはいけない。限られた選手とコーチの関心とエネルギーは質の高いトレーニングを行うことに向けられるべきである。

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