元気なさなえベルリンボート紀行

中村さなえ

日本のみなさん、お元気ですか?
ベルリンは、ここ1週間あまり、とても暖かい日が続いています。毎日10度を超える気温です。
ヴァンゼーの氷もすっかりとけました。
ボートが漕げそうです。

1月11日(日)
ヴァンゼーのクラブ(ボートの)に行きました。
湖はすっかり凍ってしまいました。
桟橋のまわりの氷は、かなりあつくて・・・、乗ってみました。
大丈夫。これで、当分、ボートに乗れません。がーん・・・。

しかし、アキレス腱を切って、家で休養しているベァーテがみんな(クルーの仲間)を食事に招待してくれるという企画をしているそうで・・・。
次の週末、ベァーテの家で集まります。

1月17日(土)
ベァーテの家に集合。
18:00集合でした。私が行ったときには、もうみんな揃っていました。
いつもはみんな彼も一緒ですが、今回は女性だけで・・・ということで、女ばかりの大おしゃべり大会。
しかし、話題はボートの話ばかり・・・。

ベァーテは早く運動を始めたくて、ウズウズしています。
たるんでしまったふくらはぎの筋肉をさわって見せては、「こんなになっちゃった。」と言うのです。
私は、「私も切ったことがある。」と言ったところ、「見せて。」と言われました。
私のアキレス腱のオペのあとを見せると、「おお、同じだ。」と喜んでいました。
その後、「リハビリをしたか?」と聞かれたので、「ギブスの中で、足をしっかり動かしておいたので、リハビリはほとんど必要なかった。」と話しました。
彼女は、この話にとても興味を示して、「どうやった???」と聞いてくるので、実際にやって見せたりしながら説明。
きっと彼女は、その日から自分で勝手にリハビリを始めたと思います。
そういう私もそうだったのですから、同じですけれどね・・・。

3月に帰国の私なのですが、「最後までクルーのメンバーだ。」と言われて、感激。
「仕事をさがせ。」「彼氏をさがせ。」とか、なんとか帰らなくても良い方法はないかと親身になって考えてくれています。
4月からは、ベアーテのアキレス腱の様子を見ながら、シングルとダブルで練習するそうです。
また、レガッタの話もしましたが、ベァーテが(ふくらはぎの筋肉を見せながら)「ふくらはぎがぽちゃぽちゃ・・・、レガッタに出られない。」とさかんに言っていました。

そんな訳で、あっという間に12時を過ぎてしまいました。
明日の練習は・・・。
ベァーテ、アキレス腱が切れているのでお休み。
ブリケッテ、肩が痛いのでお休み。
ヴァレスカ、練習したくないのでお休み。
さなえ、ジョギングしようかな???

1月18日(日)
ジョギング。
家を出て、家の前の道をヴァンゼーに向かって走ります。
ヴァンゼーまでは10kmくらいかな?
天気が良くて最高。しかし寒いです。

途中から、大きな道ではなく、乗馬クラブなどのある小さな道を走ります。
そして、森にはいるのです。
寒い日でしたが、散歩をする人が多くいました。
おじいちゃん、おばあちゃんが仲良く手をつないで散歩しているのをみると、なぜかポカポカしてきます。

ヴァンゼーの森は、何回も走ったことがあったので、いつもと違う道・・・と思って走っていくと・・・。
「ここは、どこ????」
人気もなくなり、どこを走っているのかわからなくなってしまいました。
ここで・・・。
すごいものを見てしまいました。
カサカサ・・・。音がするので、喜んで振り返ると・・・。
鹿(?)が2頭、猛スピードで走っていく。
そのすぐ後ろに・・・。
大きな、大きないのししが20頭以上も・・・。
思わず息を殺して、ついでに心臓も止まりそうでした。
ついさっき、私は走っていた道をいのししが猛スピードで駆けていくのです。
ああ、踏みつぶされなくて良かった・・・。
いのししが、私に気づかなくて良かった・・・。
その後は、もう私も猛スピードでジョギング。「いのしし、出てこないでよ・・・。」と祈りながら・・・。
知っている道に出たときには、ホッとしました。

そうそう、なぜこの日ヴァンゼーまで走ったかというと、BRC(ベルリーナールーダークルップ)のジュニア、子どものコーチに、話を聞かせてもらおうと思っていたのです。

このクラブは、とっても大きなクラブで、クラブ員は500人以上、伝統ある男性だけのクラブです。
クラブから給料をもらっているコーチもいるので、数あるボートクラブの中から、このクラブに質問に出かけました。
3年前、初めて行ったクラブもここなのです。
しかし、その時は「ここは男性だけのクラブなので、あなたは漕げない。」と言われて、それで親切に女性も入っているボートクラブの電話番号をくれたのでした。

クラブから出てきた男性に用件を話すと、とても親切で、子ども(10才〜13才)のグループのコーチに会わせてくれました。
立ち話でしたが、いろいろ話すと、「ジュニアのコーチの話の方が、おもしろいよ。」と言ってくれて、後日、また訪れることにしました。
20日、火曜日の夕方に練習を見せてもらうことになりました。

夜は、FRCW(私の所属するボートクラブ)のおばさんの家で、食事をご馳走になりました。
私のドイツ語の先生も・・・。クラブのおばさんだから・・・。
いのししの話をすると「一人で森を走ってはいけない。」と言われました。
ごもっとも・・・。
以後気をつけます。
おばさんたちと、クラブの会報に載せる記事を書きました。
私の送別会をクラブで開いてくれることになりました。
クラブハウスの2階での、持ち寄りパーティーです。クラブのみんなに感謝の気持ちを伝えるために、がんばってドイツ語の記事を書きました。

1月20日(火)、21日(水)
ベルリーナールーダークルップ(以下BRCと書きます。)に行きました。
うちのクラブは女性だけですが、このクラブは男性だけ。
クラブ員は553人。1876年創設。伝統あるクラブです。
建物もすごく大きくて、古くて、立派です。
この日、中に入ってビックリ!!本当に広い。

このクラブには6人のコーチがいます。
そのうちの3人と会いました。一人は、クラブから月給をもらっているコーチ。このクラブのコーチというのが彼の仕事です。彼は18歳以上の選手のコーチです。
日曜日にあったのは学生のアンドレアス。彼は子ども(10才〜13才)のグループのコーチです。
そして、ジュニア(14才〜18才)のコーチは、もとオリンピック選手(ソウル、バルセロナ、アトランタ、シドニー)。彼は、JAPANのジャージを着て、私を迎えてくれました。ビックリして尋ねると、アトランタのオリンピックの時に、なぜか日本のジャージが手元にまわってきたって・・・。いったい誰のものでしょう???
彼は2m8cmなので、きっと大きな選手のものだと思いますが、誰のだろうか???

そして、私の1番興味のあるところ(日本の学校の教師でボート部の監督ということで、約束を取り付けたので・・・。)のジュニアの練習を見学。
みんな楽しそうにやってる。
「楽しい?」と尋ねてみると「もちろん楽しい。」「でも、今はボートに乗れないからね。」「ボートに乗るのは、本当に楽しいよ。」ってな感じで、エルゴやウエイトトレーニングに笑顔(?)で取り組んでいました。

ジュニアの練習は毎日。休みはありません。
シーズン中は、土曜、日曜は2回練習。
1度の乗艇で20kmを漕ぎます。
ジュニアのグループの練習メニューをもらいました。
すごい練習量です。乗艇のあと、ウエイトやエルゴ何てのも入っています。
とても日本の中・高生には出来そうにもありません。
しかし、みんな本当に楽しそう。学校のクラブではありませんから、好きなものが集まってきてやっているのですよね。
お楽しみボートにどっぷり浸かっていた私としては、久しぶりの刺激でした。
うううんん、燃えてきた!!(何に???なんか、頑張ろうって気になってきた。)

ルーダーカステン(ローイングタンク?)があるのにもビックリ!!
さすが伝統あるクラブだ。
設備が違う。エルゴの数やトレーニングルームの数も一ボートクラブとは思えないような規模でした。
このクラブは、「勝ちにいくぞ。」という人がたくさんいて、のんびりボートを漕ぎましょうなんて雰囲気じゃないのです。
そうそう、2003年の世界選手権(ミラノ)でクオドに乗っていた選手もエルゴをやって、そのあとウエイトトレーニングをしていましたよ。
エルゴは90分やったって・・・。その後、ウエイト器具のあるトレーニングルームでまた会いました。
一人で、黙々やっていましたが、私が話しかけるとよろこんで答えてくれました。
「オリンピックに出るの?」
「まだ決まっていない。」「出ると思うよ。」
ってな感じで・・・。

1月23日(金)
お楽しみ企画。
ボートクラブでのラクレットパーティー。
新しく入った女性ととなりにすわりました。
クラブの紹介やいつ練習しているとか何とか・・・、私も3年目で、こんな事も出来るようになりました。
おばさん達が、私のことを「我がクラブのクルップマイスター」だと紹介するのが照れくさかったです。

1月27日(火)
ルーダーカステン(ローイングタンク)で1時間半(90分)漕ぎました。
体育館にルーダーカステンがあるのです。ビックリ!!
BRCの話を仲間にしたら、ルーダーカステンで練習できることを教えてくれました。
この前のラクレットパーティーの時の女性に教えてあげたりして・・・。私もえらくなったものだ???
木製のオールが重くて、疲れたぁ・・・。

1月28日(水)
BRCに行きました。
元オリンピック選手のジュニアのコーチに会いました。
彼のオリンピックに向けての練習について話を聞きました。
ソウルの時には、まだベルリンの壁があったので、彼は東ドイツの選手だったのです。
バルセロナからはドイツは統一されて一つのチームになったのですよね。
「東ドイツ時代と統一ドイツの練習は違うか?」
大きな声で「違う。」

2月1日(日)
ブリケッテの家で食事会。
彼女の家はノイケルン。外国人(トルコ人やアフリカ人など)が非常に多く住んでいる所です。
治安も今一つ・・・。
街を歩くときに、ちょっとドキドキしながら歩きました。

ベアーテの足が大分良くなりました。
リハビリも自分で勝手にやっているらしく、足首もよく曲がるようになりました。
「水曜日に病院に行くと、杖なしになるだろう。」って・・・。

いのししの話や、BRCの話をしました。
ヴァレスカのお父さんもBRCで漕いでいます。
ヴァレスカ曰く、
「年寄りは、ボートを漕いで、ビールをたっぷり飲んで、いつも飲酒運転。」
「優勝だけがすばらしくて、2位、3位は問題にしない。」だとか・・・。

ブリケッテの彼の焼いたパンが美味でした。

2月3日(火)
エルゴ。
一人でやりました。
いろんな意味で、ますます強くなっている元気なさなえであります。

2月7日(土)
漕げるかと思いましたが、強風のためランニング1時間。
エルゴ。レート20で20分でした。

2月8日(日)
今から走りに出かけます。

今週は長谷から頼まれたオーダーをしにニューウェーヴに行きます。
週末は晴れたら、BRCのモーターボート(エンバのカタマラン)に乗って、ジュニアの練習を見学する予定です。
楽しみだ。
写真は、BRCのボートハレ、エルゴの部屋、ルーダーカステンです。

2月10日(火)
ルーダーカステン(ローイングタンク)を漕ぎに・・・!!
学校での仕事が長引き、30分ほど遅れて始めました。
90分漕ぐところ、60分になってしまいました。残念。
相変わらず、木製のオールは重たいけれど、2回目なので慣れてきたかな???
鏡にうつる自分を見て、「うううんんん、たくましい。」
実は、ベルリンに来てから5kgも太りました。(笑)
しかし、20kmほど漕ぐ練習には、やっぱり多少体重も必要でしょ・・・。
最初は本当に辛かったです。今は、慣れました。
10kmほどの練習じゃ、もの足りない?!

帰りはすごい雪。
しかし、自転車で突っ走る!!
家まで20〜30分くらいかな?びちゃびちゃな雪で、北陸の雪のようでした。

2月11日(水)
長谷から頼まれた中電のローイングスーツをニューウェーヴに注文に行きました。
本当は17時までなのですが、そんな時間にいけるわけがないので、電話をかけて尋ねたところ、「18時までは、誰かいるから・・・。問題ない。」と、それは、それは親切にしてもらいました。
しかし、職場を出る前にもう一度電話。「もし、18時を過ぎても待っていて・・・!!今、ヴァンゼーからファルケンゼーに向かって出発するから・・・。」と、なんとも強引な電話をして出かけました。
ヴァンゼーからファルケンゼーまで遠いのです。
電車を乗り継いで、シュパンダウの駅から、自転車で突っ走る!!
18時少し前に、無事到着。
長谷、確かにオーダーしました。

2月13日(金)
クラブハウスの掃除。
1年に1回か2回まわってきます。
今年は2回目。
仕事のあと19時頃から、ごそごそお掃除をしてきました。
やらないと罰金20Euroです。

ちょうど2階で、アフリカファーイアーということで、あるおばさんの食事・ビデオ会があり、誘われて、ずるずると長居をしてしまいました。
アフリカ風カレーを食べて、アフリカ旅行のビデオを見ました。
アフリカの学校の風景が何だかすごく心に残りました。

この日は、学校で学校公開日や入学説明会などの行事が重なり、かなり疲れていたので、最後までビデオを見ることが出来ず、途中で帰ってきてしまいました。
しかし、カレーは美味でした。

2月14日(土)
BRCのジュニアの練習に出かけました。
9時から練習していました。
私は、水上練習のみを見る予定だったので9時半に行きました。
乗艇前に、エルゴを3分間、5〜6セットやっていました。
最初はレート18くらいからでしたが、だんだんレートや強度を上げていき、最後はかなり追い込んで漕いでいました。

その後、水上へ。
霧雨のような雨が時々降る曇り空でした。
なしフォアは17才クルー。
シングルスカルは14才の男の子です。この子がなかなか良いと思いました。将来が楽しみです。コーチもそう言っていました。

シングルスカルは、まだまだこれからといった感じでしたが、フォアは上手かったです。
バランスといい、エントリーといい、動画で送れないのが残念ですが、写真をつけます。

みんなよくしゃべる。
いろいろ言い合いながら漕いでいました。こういうところがドイツ人らしいと思いました。
私は良いと思いましたが・・・。

寒かった・・・。モーターボート。
コーチのデットレフとビールを飲んで、ボートの話をたっぷりして帰ってきました。
おもしろかった。

さて・・・、自分の練習は・・・。
ブリケッテは休暇でオーストリアにスキーに出かけました。
ベアーテは、アキレス腱が切れているし・・・。
ヴァレスカは練習嫌い?
だったらシングルスカルに乗りたいと言ったら「冬はだめ。」と言われたので、
ジョギングばっかり・・・。
来週は乗艇する予定です。
私のベルリン生活も残すところあと、1ヶ月となりました。

2月15日(日)
朝からとても良い天気で(ボートを漕ぐのに・・・ですよ。)、もちろん風もなくて、まさにボート日和。
前日、BRCのジュニアの練習を見たこともありますが、漕ぎたくて、漕ぎたくて、電話をかけまくりました。
しかし、一緒に乗ってくれる仲間は見つかりませんでした。
私のクラブでは、冬は、シングルスカルに乗ることを禁止されているし・・・。

どうしても諦められずに、もしかしたら漕ぐかもしれないという準備をして、自転車でクラブまで出かけました。
10kmくらいかな・・・。
ラッキー・・・。
ダブルスカルに乗ろうとしているコンスタンツとベティーナがいました。
「シングルスカルに乗って良い?」
「良いよ。さなえは上手いから・・・。」
「しかし、絶対事故を起こしてはいけない。」
「ダブルスカルの近くを漕ぐこと。」
ってなわけで、2004年の初乗りになりました。
ダブルスカルに着いていくのは大変でしたが、うれしい乗艇でした。
やっぱり水の上は良いです。

帰りも自転車で10km。
ボートは16km。
全部で36km漕いだかな・・・。

2月17日(火)
ルーダーカステン。
この日は6人だったので、私は一人で漕ぎました。
5人の女性は交替で4人のプラッツを使いました。
みんな気を使って、「一人で退屈でないか?」と聞いてくれました。
全然退屈ではありません。
鏡があるから・・・。
それに、後ろから速いフォアードにおされるような思いをしなくて良いから・・・。
しっかり90分漕ぎました。

2月22日(日)
前日は学校行事のための出勤でした。
10時から・・・。
少し凍っていると言うことで、シュパンダウに向けて大きなヴァンゼーを漕ぎました。
シングルスカルでした。

ブリケッテとヴァレスカはビックボートの舵なし2人乗りでした。
「ビックボートから離れてはいけない。」
「落ちてはいけない。」
などと何回も言われての乗艇でした。
いつもと違う景色で気持ちよかったです。(かなり寒かったと言うことです。氷点下かな???)

練習の後、ヴァレスカに髪を切ってもらいました。
すごく長くなっていて、リュックをかつぐと背中とリュックサックの間に髪の毛が挟まっていたのです。
10cm以上切りました。
頭が軽くなったような気がする。

14時から明日(月曜)のファッシング(カーニバル)の催しの飾り付けを手伝いました。
お楽しみ企画係のおばあさん(女性)は、私のドイツ語の先生ですから・・・。
明日の夜は、ジャムやチョコの入ったファンクーヘンを食べながらの楽しいひとときです。
もちろん行きます。

それでは、ベルリンではまだまだ寒い日が続いています。
日本はもう、春らしくなってきましたか?
みなさま、お元気で・・・。

ベルリンより元気なさなえ

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