第2回 おカネの問題は他人事ではない!

財務担当理事 押領司哲也 (t-oryoji@po.kbu.ac.jp)

先月より倶楽部の現状を漕艇通信の紙面を借りて、各担当理事・運営委員がお伝えしています。今月から2回にわたり、財務担当理事として、おカネの側面から倶楽部の現状をお伝えいたします。1回目はおカネに関する最近の流れと収入源についてです。

1.倶楽部を取り巻く現状と今後の課題

(1) NPO法人化
2001年1月に瀬田漕艇倶楽部は「ボートというスポーツを通じて社会全体の利益の増進に寄与していきたい」との理念のもと、NPO法人(それまでの任意団体から行政公認の法人格を持った団体)として新たなスタートを切りました。NPO法人化することで得られるメリット(各種助成金など)とともに、私たちの活動ならびに会計は行政や社会に対するアカウンタビリティ(説明責任)を求められるようになりました。
(2) 駐車場土地購入、NTT艇庫購入
駐車場用地を、任意団体時からの貯え(約1,700万円)と多くの会員や個人・団体からの寄付金援助(約700万円)を得て、2003年3月に2,400万円で購入しました。
また、2004年3月には現瀬田漕艇倶楽部アネックス(旧NTT滋賀ボート部艇庫)を200万円で購入しました。アネックスは修繕補修等で今後約150万円の支出を予算計上しています。
(3) 収益事業の減収減益傾向
倶楽部の収入源は
  • 1.会費
  • 2.助成金
  • 3.寄付金(法人賛助の開拓等)
  • 4.事業収入
の4つです。4.の事業収入は公益事業と収益事業の2つに分けられます。収益事業(外国製品輸入販売、艇運搬分担金、レンタル事業など)はここ数年、減収減益傾向が続いています。ボート教室やレース開催などの公益事業だけで安定的に事業収入をあげるにはまだまだ時間がかかります。収益事業の先細りは倶楽部活動の縮小均衡につながってしまいます。
(4) 今後の課題:県道からの進入路確保
現在、三洋電機健康組合保養所の敷地を無償で通行させていただいていますが、近い将来通行できなくなる可能性もあります。県道からの進入路を確保できなくなった場合、倶楽部にとって死活問題となります。進入路を確保すべく、土地を購入(もしくは賃貸)するにしても資金捻出は必須となります。特に土地を購入するとなった場合、駐車場用地とは比べようのない金額を要することになります。現在、理事会では県道からの進入路について、三洋電機健康組合保養所と通行に関する覚書を交わすとともに、用地売却などの情報提供のお願いを文書で伝えています。他にも浄化槽など設備投資面での緊急課題もあります。

以上のように、ここ数年、瀬田漕艇倶楽部のおカネ面での環境は劇的な変化を遂げています。駐車場用地ならびにNTT艇庫購入で過去の貯えをほぼ取り崩しました。そして、今後も活動基盤を確保するための投資は必要な状況です。

このような状況の中で今後の倶楽部の活動資金はどのように捻出していけばよいのでしょうか?どうすれば、安定した収入基盤を築けるのでしょうか?

2.安定した収入基盤作りのために

倶楽部の主な収入源は先にも述べたとおり、

の4つです。このうち1と4は自力による資金捻出、2と3は他力本願の資金捻出となります。

収入源の2、3、4は常日頃の公益活動や競技活動の実績に比例して、確保しやすくなります。そのためにも倶楽部の理念に基づいて、公益活動や競技活動で実績・成果を残すべく、実際に行動していかなければなりません。

現実的な問題として、活動や理念を訴えるだけで第3者から支援をいただけるほど、世の中は甘くないと思います。それよりも自立した団体として自分たちの資金は自分たちでまかない活動していくこと、そして、このことに賛同していただける個人や団体にバックアップしてもらえる仕組みを作り出していかねばなりません。

上記収入源1の会費は会員の活動レベルの如何を問わず、倶楽部の収入となります。ただし、2の事業収入、特に公益活動は会員の活動レベルに応じて収入は大幅に変わってきます。つまり、助成金、寄付金、事業収入を増やしていくためには、私たちの活動理念に応じた公益活動や競技活動を充実させ、実績を残すことが必要となります。そして、これらの活動に多くの会員が取り組むことで、私たちを支援いただける潜在的な個人や団体のメリットにつなげていく仕組みが必要となります。

それでは私たち瀬田漕艇倶楽部は今後どのような活動をしていけばよいのでしょうか?この問題は理事や運営委員だけでなく、多くの会員の皆さまにもお考えいただければと思います。おカネの問題は他人事ではありません。私たち会員1人1人の問題なのです。

以上、倶楽部を取り巻くここ数年の動きと安定した収入源について、問題提起をいたしました。次回は倶楽部のおカネの推移などに触れたいと思います。

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