36歳で国体初出場・8位入賞

きょう(京 基樹) (kyokyo@kcc.zaq.ne.jp)

久しぶりの投稿です。今年の4月に大阪に転勤となり、芦屋に住んでいます。福井県の美浜ローイングクラブでは3年間の活動でした。美浜RCでは2年前の地元(久々子湖)開催の全日本社会人選手権のナックルフォアで6位に入ったくらいで、これといった成績をおさめることができず、情けない思いをしておりました。芦屋に移住してからは神戸市漕艇連盟や近畿大学にお世話になり、5月下旬からようやく週4日練習するパターンができました。平日に桜ノ宮でエルゴを引き、土日は魚崎や兵庫運河で漕いでいます。

今回、ひょんなきっかけで、大阪代表で国体に初出場し、運のよさもあって8位に入賞してしまいました。

急造クルー結成し、国体予選突破

大阪府国体予選の二週間前(7/2)に浜寺RCの木下巌氏から自宅に電話がかかってきました。国体大阪府予選4+に一緒に出場してもらえないかとのこと。当初、学生と一緒にクルーを組んでいたが、インカレに集中したいと断られ、大阪勤務の瀬田RCメンバーを探して、私と高橋正浩氏にたどり着いたそうです。こうして、宮野、木下、田子(浜寺RC)、高橋、京(瀬田RC)の大型(平均身長185cm、体重77kg)ではあるが、若くはない(平均年齢33歳)クルーが誕生しました。

城崎での全日本社会人選手権をはさんで、二回だけ4+の乗艇練習を行い、7/17(日)の大阪府国体予選(浜寺)に挑みました。全員大きいので、レンジが合っていい感じです。浜寺RC、阪大大学院生クルーに10秒の差をつけ、3分17秒で大阪代表の座を勝ち取りました。今まで住んでいた福井県や滋賀県では国体と無縁でしたので、「こんなに簡単に国体選手になってしまっていいのだろうか」という気分でした。

練習として出場した関西選手権

国体予選は勝ったものの、クルーのスケジュールが全く合わず、関西選手権を除くと国体まで練習できるのは5回のみ。これは「関西選手権に出場して、レースで練習するしかない!」と2000mを漕ぎたがらない高橋氏を説き伏せてエントリーしました。国体予選の勢いをそのままに、決勝に進出し、優勝した名古屋大に続き、二位に入賞しました。この時点で4+乗艇回数は、まだ9回(レース込み)。

おかやま晴れの国 国体 本選にて

国体に合わせて、1週間前に整調をBサイドの木下氏からSサイドの私に交代し、国体まで4回乗艇練習しました。予選は比較的楽な組合せでした。微逆風条件にて3分23秒でゴールし、二位に18秒の大差をつけて予選を突破しました。予選突破の中では8番タイムでした。

準決勝は、1番タイムの東レ滋賀、8番タイムの浜寺・瀬田、9番タイムの鹿児島(碧漕会)、敗者復活6番と7番の山口と兵庫、と順位決定戦を狙うには最高の組合せになりました。スタートから東レに続いて飛び出し、そのまま二位をキープしました。最後に山口に迫られましたが、逃げ切って二位に滑り込み、順位決定戦への進出が決まりました。他の準決勝には厳しい組合せもあり、我々は幸運だったと思います。

順位決定戦は岡山、埼玉(戸田中央病院)、長野、浜寺・瀬田の組合せでした。700m付近では、長野を一旦抜いたものの、最後は最下位に沈み、8位となりました。それでも8位入賞です!国体入賞選手と子々孫々まで語り継がせようと思います。(笑い話になってしまうかも?) クルーをサポートしていただきました浜寺RCの森上さんと京都大の立石さんにこの場を借りて感謝します。

寝るオヤジは育つ

台風のため公式練習が中止になったため、国体初日の前日に岡山入りしました。木下・田子のツイン部屋に前日21:30に集まってミーティングした(駄弁っていた!?)のですが、私と同室だった高橋氏はミーティング前の21:00過ぎから寝始めて、ミーティングに加わることなく、朝の9:30まで寝続けました。それだけでなく、翌日の予選の晩も、朝の9:00まで寝ておられました。私も睡眠時間は長いことでは自信があったのですが、完全に負けました。田子氏によると、木下氏は横になってから1分以内に眠りに落ちる特技を持っておられることが判明しました。二人とも、「寝る子は育つ」をそのまま大人(オヤジ)にしたような方々でした。

高橋氏はかなり大きないびきをかいて寝られます。高橋氏の奥さんによると、「鼻を指でつまんだらいびきが直る」そうなんです。私も一回だけ鼻をつまんでみました。確かにその後10分くらいは、いびきはされませんでした。高橋さん、鼻をつまんですみません。私は罪深い男です。

オヤジボート選手はとにかく食う

数日間を一緒にしましたが、みんなの食べる量に驚かされました。どんなものでも大盛りで注文するし、餃子の王将では定食に餃子を4-5人前は平らげていました。私は食べる量は一般人と同程度なので、途中から食事量を合わせるのをあきらめました。それだけ食べても、高橋氏は準決勝の深夜3:00に空腹で目が覚め、前夜スーパーで気になって仕入れた「チョコバナナ」とパンを平らげました。あの「チョコバナナ」が準決勝の力の源だったのかもしれません。私は高橋氏の食べる音で目が覚め、選挙速報で自民党圧勝を知りました。翌日の晩、レストランで定食を食べました。かなりのボリュームで私はおなかがいっぱいで苦しいくらいだったのですが、木下氏は「デザート」にカルボナーラスパゲティを追加注文。田子氏と高橋氏はミートスパをシェア。私はあきれてものも言えませんでした。最終日のレースの後、木下氏は普段の体重より3.5kgも増えていました。国体遠征の数日でパワーアップしたということか!?

国体ってすごい。でも何か変だ。

今回、初めて国体に出場させていただき、幸運にも入賞し、表彰式まで出席させてもらいました。とにかく、今まで出場した中で、最もすばらしい大会だったと思います。ボートに全く関係のない地元のボランティアたちががんばってくれており、本当にすばらしい運営でした。あと、岡山国体のキャラクター「ももっち」などが制定され、相当なお金が動いていることもよくわかりました。各都道府県も選手たちの遠征費・滞在費を負担しており、普通のレースでは考えられないことでした。実業団の選手からすれば、会社か県が負担するかの差で、自分が費用負担しないことは同じなのかもしれませんが、私のような普通のサラリーマンからすれば、夢のようなことです。大阪府は、ユニフォームは個人負担で購入、レース前日とレースのある日だけ滞在費が出る状況でした。最終日に残らなければ、ホテル代を自己負担する必要があったのですが、幸いにもそれも負担することなしに終わることができました。

すばらしい大会ですので、「国体こそが国内最高峰のレース」であると勘違いしてしまいそうになります。本来ならば、全日本選手権こそが国内最高峰のレースであるべきですが、ただの1000mレースである国体の方がはるかに多くの人と金が動いており、参加した選手(私を含む)をいい気持ちにさせてくれるのです。つい先日、長良川で世界選手権を見て、世界との差を目の当たりにしたわけですが、国体入賞でいい気持ちになっている私には、世界はとてつもなく遠い存在のように感じられるようになりました。

最後に、会社の同僚に「きびだんご」を買って帰りました。桃太郎の童話から、「きびだんごを食わせて、みんなを俺の部下にしてやる。俺のきびだんごを食ったな!今日からお前は俺の部下だ。サルや犬やキジのように俺のために戦ってくれ」と言ったら、思いっきり軽蔑した眼で見られました。もう一度、ボートの練習も含めて出直したいと思います。

<完>

国体にて C宮野、S京、3木下、2高橋、B田子

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