こんな地域クラブはいかがでしょう?

嶋田宏之

あなたは週末どこへ行きますか?こんな場所があったらどうでしょうか? 『グラウンドがあり、テニスコートがあり、プールがあり、公園があり、ゴルフ場があり、レストランがあり、居酒屋がある。ふと横を見れば、世界で戦うトップアスリートが練習しています。トップアスリートの背中を追いかけてみるも良し、自分のリズムで運動するのも、芝生の上でのんびりするのも良いですね。それぞれの施設を利用している人はもちろん、働いている人も、運営している人も知り合いで、自分と同じ価値観を持った人ばかりです。』こんな夢のような場所があったら毎日でも出かけたいと思いませんか?

体育の日に神戸で行われた地域スポーツクラブのシンポジウム(クラブネッツ・朝日新聞主催)に行ってきました。日本は地域クラブの歴史が世界に比べて非常に浅いため、どうしても欧米の地域クラブと比較された話が多くありました。上で僕が夢想した地域クラブも、今回紹介されたドイツのクラブチーム(高原が所属するハンブルガ−)を基にしたものです。欧米にはこんなクラブチームがあちこちに存在し、クラブに所属している国民の割合は30〜50%に上るのです。地域クラブ入会希望者があまりにも増えてしまったため、会員数制限を設けたり、会員適正審査(あいさつ・マナー等)を行っているクラブもあるそうです。一流クラブの会員であることは一種のステータスになっているのではないでしょうか?

瀬田漕艇倶楽部も地域クラブです。しかし以前、艇庫を訪れた地元の方に「この『ジム』の人ですか?」と声をかけられたことがあります。ショックでした。上で紹介した地域クラブから『ジム』というイメージがわきますか?残念ながら今の瀬田漕艇倶楽部は、会員が使用料を払って施設を利用するジムのイメージでしか見られていないのです。「大人がスポーツをする場所」=「ジム」という発想しかないのかも知れませんが・・・。

為末大選手は「日本のスポーツ文化が大きく変動しようとしています。今現在、クラブチームに関わっている人は、次の世代の人たちに『自分は今のスポーツ文化の誕生に関わっていたんだぞ』と胸を張れる日がきっと来ます。」と言っていました。『ジム』扱いされてしまった瀬田漕艇倶楽部ですが、日本では決して他のスポーツクラブに遅れをとっていることはありません。行政に頼ることなく、クラブハウスを持ち、170人ものスポーツ好きが集まった瀬田漕艇倶楽部は、先進的な組織だと言えます。どうでしょう?もう一歩先の段階へ進んで、新しいスポーツ文化を引き起こしてみたいと思いませんか?

あまりにも漠然とした夢や理想を語ってしまいましたが、とりあえず、今年のHead of the Setaにみんなで集まりませんか?選手としてでも、スタッフとしてでも、観客としてでも。ここ数年で瀬田川岸が整地され、観戦しやすくなっております。

またまた海外の話で申し訳ないですが、先日アメリカボストンで行われたヘッドレースには1000人を超えるボランティアと10万人近くの観客が集まったそうです。瀬田川にそれだけの人間が集まった姿を想像してください。凄くないですか?マスコミも行政も黙ってはいませんよ。10万人は無理でも、一人でも多くの人間が瀬田川周辺に集まれば、きっと地元の人も興味を示してくれるでしょう。

「何かやってるんですか?」と聞かれたら胸を張って答えてください。「私のクラブが楽しいボートのイベントをやっているんですよ。」と。地元の人たちに瀬田漕艇倶楽部の活動を見てもらうビッグチャンスです。

今年は無理でも来年は。来年が無理でも再来年こそは・・・と少しづつでもこのレースを盛り上げていきましょう!

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