2006年度も毎年恒例の初漕会に始まり,マシンローイング大会も終了し,シーズンに向けて活動を開始されたことと思います. 昨年を振り返ると,総合型地域スポーツクラブ化への取組み,世界ボート選手権出場のためにキャンプに訪れたデンマークチームの受入れ,琵琶湖スプリントレガッタの開催等,新たな活動に取り組み始めた1年間だったといえます.特に理事の方々やこれら行事の中心になって活動いただいた方々には大変ご苦労様でした.なお,今年の定期総会を以って,総合型地域スポーツクラブ設立とする運びです.
このように外から見るとクラブは順調に成長しているかもしれません.しかし,理事会ではクラブの課題を解決しようとしながら,十分対処できなかったことも事実です.クラブが継続的に発展していくためには以下の課題を克服していかなければなりません.
競技成績を残すことだけがクラブ活動の目的ではありませんが,トップアスリートの育成,さらにはクラブからオリンピック選手を輩出することはクラブとしての「夢」でもあります.それによりクラブが活性化され,外部へのクラブの認知度も向上し,その波及効果として優秀な選手の入会,補助金収入,クラブへの支援が期待されます.若く,練習に一心に打ち込むことができる人は,競技成績を上げられるよう,もっと練習に励んで下さい.
新艇庫ANNEXを購入,改修し,ボート,ドラゴンボート,カヌーも準備されました.175人の会員全員が練習に来たらさすがに艇が足りない状況ですが,残念ながらここ数年,艇が足りなくて交代で練習しなければならないという状況になったことはありません.運営する側が会員にクラブにもっと足を運べる機会を作っていくことは必要ですが,会員みなさんが入会した時の気持ちを思い出して,できるだけクラブに足を運んでいただきたいと思います.体力がなくなって,練習はきついなあというオヤジのみなさんもおしゃべりに来るだけでも構いません.みなさん,クラブハウスに足を運んで下さい.
クラブ活動の原点は自らのスポーツ活動を楽しむことがですが,現在のクラブの規模,NPO法人としてはそれだけでは社会的な責任を果たすことはできません.Head Of The Setaを始めとするボート,カヌー大会の開催,初心者ボート教室等の公益事業に会員の皆さん,ご協力ください.事業に対し,会員が何人参画したかということが,公益事業成功のバロメーターの1つです.
また今後,総合型地域スポーツクラブとして地域の小学生や中学生へ水上スポーツの指導をしていくことも求められるようになります.国内のボートクラブでは浜松ボートクラブ佐鳴会が熱心に取り組んでいますが,それ以外のクラブはほとんど取り組んでいないのが現状です.クラブ内でもスカル教室で小学生の指導を行っていたことがありますが,現状の指導者の数で対応していくことはかなり困難な状況です.私の子供は地域の小学生のソフトボールチームにお世話になっていますが,指導は父兄が中心です.私も昨年からコーチとして微力ながらお手伝いしています.OBの高校生もコーチとして手伝ってくれています.まずはスカル教室で指導できる人をもっと充実していく必要があります.
現在のクラブの収入は約1000万円(総会資料参照)であり,この中から管理費,ボートなどの購入,公益事業の支出をしています.クラブが継続的に活動していくためにはボート,艇庫といった資産の原価償却を補うために毎年最低300万円を残していかねばなりません.
クラブの収入源は①会費収入②寄付金,補助金③公益事業による収入④収益事業からの繰り入れから成り立っています.現在よりも会員数が少なかった時代には収益事業からの繰り入れ収入が大部分を占めていましたが,ここ5年間,収益事業収入の低下傾向が続いています.昨年度は寄付金,補助金で補ったものの,所詮これらは他力本願的なものであり,安定収入とはなり得ません.公益事業による収入は増えていますが,質の高い事業を継続する為にはそれなりの支出を伴います.さらにその事業規模,頻度が多くなれば,自らのスポーツ活動とのバランスを欠くことにもなりかねません.それらに対し,会費収入は最も安定的な収入源であり,現在収入の約1/3を占めます.もしも寄付金,補助金,公益事業収入,収益事業繰り入れ収入で賄うことができなくなれば,近い将来,年会費を上げることも考えていかなくてはなりません.一律年会費を2万円から3万円に値上げすればさらに年約150万円の安定収入を見込むことができます.クラブ創設以来,値上げをせずに今日に至りましたが,会費の値上げも考える時期に来ているのかもしれません.
またクラブ進入路の問題も解決されていません.近い将来,購入することを視野に入れて資金を確保する必要があります.
1977年に瀬田漕艇倶楽部が創設されてから29年が経ちます.若者から年配者,初心者からトップアスリートが年齢,社会的な立場を超え,ボートというスポーツを楽しみ,自らの競技能力を向上させるとともに,相互の親睦を深めてきました.創設当初から今日に至るまで自主運営を基本として,会費や収益活動による運営資金を自ら調達することによって,艇庫を建設し,艇,オール,トレーニング器具を充実させることができました.その結果として,会員も増加し,ボートに関するノウハウを蓄積することによって,レースやセミナー,ボート教室といったボートの楽しさを普及させるNPO法人としての公益活動を行い,社会貢献活動を実践することができるようになりました.
決して瀬田漕艇倶楽部は会費だけを支払えば,艇庫を利用でき,サービスを提供されるスポーツクラブではないのです.私たちはそのようなクラブにしていくことは望んでいません.総会資料では新理事および新運営委員案が記載されていますが,ここに記載されている方はあくまで責任者であり,その人だけが取り組むものではありません.会員の自主運営で成り立っているクラブであることを再度認識していただき,常にクラブの中で自分は何ができるのだろうということを考えて下さい.何ができるかわからなければ,クラブ内外の4S(整理,整頓,清潔,清掃)をお願いします.各人が来た時よりも美しくという視点を持てば,クラブに対する負荷も軽減されます.
定期総会は昨年のクラブの活動を振り返ると共に,今年度,上述した課題を会員全員で共有し,どうやって解決していくかを考える機会でもあります. みなさん,2月19日(日)の定期総会に是非ともご出席下さい.