ねんりんピック静岡2006

古川宗寿

 ねんりんピックなるものがどのようなスポーツ大会なのかを知らないまま、滋賀県予選に出て、本大会への参加は10月27日から3日間でした。ヘッドレース、東京水上クラブレガッタ、それに親父の三周忌の総てを後ろ髪を引かれる思いで振り切って静岡県での本大会に参加しました。いつも参加しているレガッタとはとちょっと違った大会の様子をレポートします。

ねんりんピックとは正確には全国健康福祉祭の愛称です。国内のほとんどのスポーツ競技会の主催者は文部科学省傘下の各競技スポーツ協会か、日本体育協会、体育連盟です。この大会は厚生労働省を頂点にした長寿社会開発センターで滋賀県の担当は高齢福祉・介護課と社会福祉協会です。とうとうこんな行事の対象になる歳になったのかと改めて思いました。そんな訳で参加期間中、どこででもボランティアスタッフから優しくしていただきました。

この大会は60歳以上を対象にした健康と福祉の祭典ですからスポーツ交流の他に音楽会、美術展、シンポジュウム、弁論大会等々いろいろなイベントが計画されていて延べ参加人員は50万人とかで動員数はオリンピック大会の比ではありません。そして私が参加したのはスポーツ交流大会の中のボート競技で種目は”高齢者シングルスカル”です。でもボートは毎年、開催種目に入ってないのが残念です、総合開会式には行進をしてきましたが、かって出た経験のあるオリンピックの開会式と同じか、それ以上でした。違うのは総てのタイム・スケジュールが極めてスローでした。行進の後、グランドに整列したみんなに椅子がわたされて腰掛けての開会式参加もこの大会らしいです。こんな沢山のお金と人を動かしての私の知らなかった世界もあったのが驚きでした。この国はなんだかんだと言っても、平和で豊かです。

大会の趣旨から言って、スポーツ交流会は勝負第一ではないのですが、勝ちたくなってみんな頑張るのは同じです。ゴールした後に審判艇から「異常はありませんか」と聞いてくれるのがこの大会らしくて面白いと思いました。俺を年寄り扱いするな!と思いつつ、笑顔で「大丈夫、ありがとう!」と答えて良いおじいさんを演出しておきました。レースは500mの距離であるだけでそのほかは通常のボート競技です。この9月に60歳になった岡井選手(横浜市代表)が強いとの戦前評でした。私はそんなこと知らずに、出発時に滋賀県庁前の壮行式では絶対優勝してきますと宣言した手前、青地君を笑えないくらい緊張するはめになりました。 いつもになく、45分前にけり出してアップとスタート練習をすることにしました。アップ・エリアでは噂のライバルがスタート練習をしているのが横に見えました。鋭意観察の結果、相手の弱点はこれだと即、察知して急遽スタートからぶっ飛ばす作戦としました。作戦通りスタートで2艇身半のリード、後半に追いつかれつつも1艇身余で勝てました。ゴールでは死んでいました。例年の私なら、500mでも逆転されていたでしょう。今年は湖上通勤の効果がここにきてものを言ったようです。おじいさん仲間からは「去年と違うな、失速せえへんかったな」とお褒めを頂戴しました。それでも1,000mレースだったら700mあたりで抜き去られて、完全に負けていたでしょう。今季は国内マスターズ7連勝でしたが、来年からはどんどん厳しくなりそうです。(予選からはタイム順で勝ち上がるシステム)

【予選】 微逆風
レーン 名前 着順 タイム
松永(東京都) 2分36秒40
古川(滋賀県) 1分56秒40
徳山(兵庫県) 2分14秒75
岡井(横浜市) 1分59秒14
【決勝】 強斜め逆風
レーン 名前 着順 タイム
徳山(兵庫県) 2分20秒84
岡井(横浜市) 2分04秒61
古川(滋賀県) 2分02秒78
井出(静岡県) 2分11秒32

古川さんの今年の戦績 なんと七冠です!!

◎朝日レガッタ(60歳以上シングルスカル) 優勝
◎ねんりんピック 滋賀県予選(男子シングルスカル) 優勝
◎ジャパンオープンマスターズレガッタ(【60〜64歳】男子シングルスカル)優勝
◎全日本社会人選手権(60歳以上男子シングルスカル) 優勝
◎クラブ選手権(60歳以上男子シングルスカル) 優勝
◎京都レガッタ(60歳以上男子シングルスカル) 優勝
◎ねんりんピック(男子シングルスカル) 優勝

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