安物のアスレチック・クラブにはなりたくない!!

監事 古川宗寿

 現在、2月の倶楽部の定期総会に向けてこの一年間の活動をとりまとめる作業が進んでいます。そして次の新年度活動の協議に理事会では白熱しています。 倶楽部の活動監査をする立場から監査を通じて感じたことと、会員のみなさんへ重要な提案とお願いを述べます。

私たちは漕ぐことを通じて水上・スポーツの楽しみをより深いものに発展させる支援を目指しています。会報の表題の傍らには表記の倶楽部の活動理念を掲げています。これは何年かまえ、みんなで合宿をして練り上げたものです。 もし、貴方がローイング愛好者として倶楽部に来て漕ぐだけの自己の目的充足のみに活動が終わっているなら町のアスレチッククラブ通いと同じで、少し寂しくもあります。瀬田漕艇倶楽部の理念とも違います。そんな人は母校の艇庫か公営施設に自分のローイングの拠点を移すべきです。

欧州のあちこちの町にある地域のローイング・クラブが私たちのモデルです。さらに、琵琶湖という恵まれた自然環境を生かすためにローイングにとどまらずにカヌー、ドラゴンも仲間に入って頂き、水上総合型地域スポーツ倶楽部に発展することを2年前に宣言しました。

近年の倶楽部の活動やそれを支える財務はじり貧傾向です。かたや会員数は大幅に増加しています。数年前に比べて予算の総額はほぼ同額でかつ、ひも付き補助金比率が増加していますから予算の使途自由度は低下しています。そして会員は2倍に増えましたから活動の中身はどんどん薄くなっていると考えて良いでしょう。

具体的には会員が利用できるボートの数と会員数は整合が取れなくなりつつあります。そして、財政難から新しいボートを購入するのは厳しい状況です。これはボートに限らず艇庫をはじめクラブ設備維持や質向上にも陰を落としています。担当役員は大勢の会員のお世話と役務に奔走しています。要するに会員収容キャパ・オーバーです。

財務に余裕を創るために会費を値上げ改定する提案の審議が今回の総会であります。これだけでは劇的な財務改善効果が期待できないばかりか会員意識向上とか活性とは関係がない、さらに欧州の地域クラブに比較して会費が割高になっては学生会員らにとってはパブリックなクラブではなくなる・・等。マイナスの面が私は気にかかります。  要するに高い会費をだして、一方的にサービスを受けるだけの高級ゴルフクラブ的な道は地域倶楽部が歩むべき選択ではないと思います。

反対に今のまま、安い?会費で、不十分な環境でスポーツを楽しむのか。つまり、会費は安いが、中身もまあまあという「安物のアスレチック・クラブになるのか」です。 私はこれも嫌です。我々の理想の姿ではないと思います。ならばどうするのか・・・?

日本では我々のような地域倶楽部には行政や個人、企業からの資金の支援は極めて少ないです。他の先進国に比べて税制の不備と寄付文化がないのが原因と一般には分析されています。その対応策として我々の場合は収益事業をやって資金を作ってきました。これは倶楽部が自立している誇りでもあり、確証でもあった訳です。ところが近頃の厳しい経済環境のなかで収益が上がらなくなって来ました。過去、多いときには400万円/年くらい有ったのが会計報告のように近頃は激減なのです。もう一度、みんなの知恵を出し合って収益事業を再生するのが有効な手段ではないでしょうか。 人件費がかからない(=会員ボランテイア)倶楽部収益事業において400万円の収益を上げるのはその気になればそんなに難しくはないでしょう。

あとひとつ、会員が何かひとつ役割を担って頂いて会務を担当して頂くことです。そうすれば会員が倶楽部ハウスに集まる機会が多くなり、倶楽部の活力がみなぎる事になります。200名の会員の知恵と総合出力はとてつもない大きい潜在力があるはずです。収益事業の立て直しの知恵をだすくらいは朝飯前の話に必ずなり、心配ないです。寄付だって出す気運が盛り上がります。

地域クラブのもっとも大きな機能は社会的所属と世代間を越えた地域のコミュニテイ作りです。それが倶楽部にいる価値です。倶楽部に来て、「やあー」と声を掛け合い琵琶湖で楽しんだあとは良い雰囲気でビールでも飲みながら談笑する。いまは会員お互いの顔が浮かんでこないのが問題で本来の地域クラブの姿ではありません。私のテラス作りもその一助になればとの願いからの行動です。 活性化の具体的対策として今年は会員の皆さんからの申告に基づき全員が何かの役割を担当して頂く組織(活動クループ)を作ることを準備中です。 資金が不足してきたからと言って、ちまちま?と会費値上げでお茶を濁すような対症療法を施すのではなく、これらの活動を通じてお互いの交流と倶楽部の活力を取り戻し、総ての課題解決を一気にやろう・・!というのが私の提案です。今年はまさに倶楽部の体質改善への行動開始年度にしたいのです。

(提起)本文中では倶楽部とクラブが混在しています。下記のように使い分けをしました。 私自身もまだ完全な使い分けは難しいですが、今後の活動のなかで整理して行くことを提起します。

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