かがみもち〜ず参上! −ねんりんピックびわこレイカディア県民大会−

しめかざり みかん

それは、瀬田ロー30周年記念カンファレンスから始まった。

4月29日、サンヨー保養所で分科会の準備をしているときのことだった。まだ時間に余裕もあり、受付をしながら、うだうだしていたときに、ねんりんピックのクルー集めをしているのりさんから尋ねられた。

「ねんりんピック、男子クルーは集まったみたいだけど、女子は無理ですかねぇ?」 ピーンときた。普段はあまり艇庫には来られていないけど、お祝いだからとカンファレンスに参加されている2人に声をかけよ、という暗黙のサインと受取った。その2人は、テラス工事のとき、ビールサーバーを寄付してくださった、なるさんと、F氏の次点で高額の寄付をしてくださった、たまさん。20年前の瀬田ローのスターメンバーである。彼女たちは、国体女子KFの滋賀県代表メンバーである。現在のはるちゃん、ともちゃんのような存在である。

「5月26日ってお時間、空いてますか?」

「別に予定ないけど?」

「ねんりんピック、出ませんか〜?」

ふたつ返事でOKの返事を頂いた。男子熟年パワー『瀬田ロー40S』に対抗する女子クルーが急造で出来上がった。熱血なるさんは、今から「優勝やで!」と盛り上げてくださった。コックスは?もちろん、見鈴おねぇさま。ローヤンが決まる前から声をかけられていたらしく「陰謀や!」とおつぶやきになっていた。

テラスで楽しく懇親会をしているときに、のりさんがエントリ用紙を書いていた。住所、年齢、身長、体重。本人がいるからスムーズに記入できる。体重?そんなもの、1ケ月後のことだからどうなっているかわからないでしょ?抵抗はあったものの、各自1ケ月後にはこうであろうと思われる数字を記入しておいた。だいたい、レディに体重きくなんて失礼である。これ以上のマル秘個人情報があるとは思えない。
「じゃ、エントリしときますね」
のりさんにエントリをお願いしたのが、間違いの元だった。

次の日、のりさんからメールがきた。
“ねんりんピック女子KF、エントリしました。クルー名は『かがみもち〜ず』です。名付け親はS田さんです。”
え?どういうこと?私は『瀬田漕艇クラブ』でエントリするものだと思っていた。何?このわけのわからんクルー名は?
のりさんがクルー名で悩んでいるときに、横からS田さんが「『かがみもち〜ず』にしたら?」と横からアドバイス(?)したらしい。S田さん本人も冗談で言っていたらしく、あとで「え?本当に『かがみもち〜ず』にしたの?」と呆れていた。おまけに「季節はずれですよ」とまで言われた。後日、S田さんに名前の由来を問い詰めたが、言葉をにごされ、逃げられてしまった。きっととんでもない意味が含められていると思う。のりさん、あんな冗談のカタマリみたいなおっさんの言う事を真面目に聞いたらあかんで。しかし、時すでに遅し。

朝日レガッタのとき、ご挨拶として、R大学のコーチをしているI次氏に「私たちのコーチもしてくださいね。ねんりんピック出るねん!」と馴れ馴れしくお願いしたところ、メンバー名を告げたら「そんな恐ろしいクルーのコーチなんかできませんわ〜」とあっさりお断りされたことも追加しておこう。

練習会は一度だけ、試合の1週間前の日曜日の朝に行った。コックスの見鈴おねぇは、本職のテニスの試合だそうで、参加は、ローヤン4人と、N井さん・・・のはずがN井さんの娘さん、あっこちゃん。あっこちゃんはコックス未経験なので、水路から出るときはバウペアに乗っていたゴールデンコンビ、たまさん、なるさんが調整して琵琶湖に出た。何をどう練習したか、よく覚えていない。たまさんが、のりさんの漕ぎを「めちゃめちゃOKやん!」と褒めていた。陸上円盤投げ出身ののりさん、一般女性のパワーの比ではない。途中でシートをあちこち交替して調整してみた。湖上でシートを交替するのって結構怖い。
結局シートは、Sなる、3のり、2たま、B私 で行く事になった。
艇庫に戻るときは、なるさんがラダーを引いた。あっこちゃん、つきあってくださっておおきに!

5月26日。試合当日。男子KF『瀬田ロー40S』から、「オールは持参やで」といわれ、そんなこと考えもしていなかった私達は、試合が始まる前からピンチで焦っていた。たまさんとなるさんは直接漕艇場に行っているから、見鈴おねぇ、のりさん、私の3人で4本のオールを運ばなくてはならない。艇庫から車で行って間に合う設定で集合時間を考えていたので、歩いて行ったら遅刻する。車にはキャリアは付いていない。どう考えても無理。「漕艇場のオールを借りようか?」との私の発言に、しまり屋さんの見鈴おねぇは「借り賃かかるよ」とポツリ。漕艇場に電話しても「まだ大会関係者は来ておりません」と冷たく突き放してくれた。とりあえず、漕艇場に行こうということになった。結局、オールは無償で借りられることになった。一件落着。

蹴り出しは試合の40分前くらいだった。漕艇場のローラーでナックル艇をごろごろと転がして琵琶湖に浮かべた。瀬田ローにもあのローラー欲しいなぁなんて考えていた。
当日は、滋賀県のインターハイ予選があって、高校生達の試合の合間にねんりんピックのレースが行われる。スカル競技ばかりの高校生は、風と波でスタート位置に付けるのに悪戦苦闘していた。そのうち、コンディション悪しで、試合が中断した。
幸い、瀬田ロー艇庫はスタート地点の近くにある。朝日レガッタのときは中断したときにあちこちのクルーの休憩所になったらしい。シングルスカルの駐車場ならぬ駐艇場となり、新設のデッキテラスでたくさんの選手が憩いのひとときを過ごしたときく。私達が艇庫に戻ると、一足先に『瀬田ロー40S』も休憩しに帰っていた。レールがふくらはぎに当たって痛かったので、たまさんにレールを調整していただいた。さすが、手際がいい。再度蹴り出したときは、時間待ちでくたびれて、試合の緊張感もなくなっていた。スタート地点では、1つ前のレース、男子1×がスタートの用意をしていた。参加の3人とも瀬田ローメンバーなので、まるでクラブ内レガッタであった。「F川さんばかり応援したらあかんし、今日はA達さんの応援するわ〜」と、たまさんだったか、なるさんだったか、はたまた見鈴おねぇだったか記憶に無いが、当のF川氏にそんなことを言えるのは流石である。無敵F川氏に、最近カムバックのA達氏、年長のM宅氏。波乱の結果は、漕艇通信前月号の通りである。

試合は5杯レース、男子2杯と女子3杯が同レースである。瀬田ローの2クルー『瀬田ロー40S』と『かがみもち〜ず』は同じレースで並べる事となった。
スタート地点には早くから着いていた。しかし、艇が流されて、進行方向がすぐに崩れてしまう。「バウ、ちょいローしてや」とたまさんから声がかかる。前では「重たいやろけどしっかり持っててや」となるさんがスタートデッキ係に声をかけていた。「バウ、流されとるで〜」という声を聞いて立て直しているうちに、スタートしてしまった。ちゃんとスタートのコールを聞いていたのは整調なるさんだけだった。2本目からはどうにかダッシュ入れてレース本番は始まった。
最初は男子クルーにも着いていた。流石のパワーである。しかし、500メートルは長かった。必死に漕いでいたのでほとんど足蹴り状態。乳酸がすぐにたまってしまった。他の人のパワーにあわせようとしたらこうするしかない。なんて人達なんだろう。あと100mくらいかな?と、ちらと距離を確認したら、まだ250m・・・足が持たない!と思い、力が抜けてきてしまった。それでも惰性で漕いでいた。男子の2チームはぐんぐんと離れていく。女子チームは最初に引き離しておいたので大丈夫。でも後半は差を縮められていたかもしれない。コックス見鈴おねぇ曰く「400m過ぎたら急に艇速落ちた」体力の限界は400mだったってことだろう。
何はともあれ、女子KFとしては『かがみもち〜ず』が、めでたく優勝できた。あ〜しんどかった。 男子は『瀬田ロー40S』優勝、結果、瀬田ローのアベック優勝となった。

表彰式のとき、プレゼンターの方が「女子ナックル、優勝、かがみもちーず様」って言ったあとに、プッと噴出していらっしゃった。なんでこんなへんなクルー名なんだろうと思ったんでしょうね。のりさんの話では、女子KF2位の『みえちゃんず』にも笑われてしまったそうである。

県民体育大会では、のりさんが帰省、見鈴おねぇがテニスの試合で参加できないので、瀬田ロー女子KFは出場しないことにしていたが、後日、漕艇場から参加依頼があり、急遽2人入れ替えで出場することになった。今回も快く引き受けてくださった、たまさん、なるさんには感謝、感謝!コックスは、コックスとしての参加は勿体無い尚子さん、もうひとりのローヤンは瀬田ローメンバーではないけれど、先日体験教室にいらっしゃっていたナッキーことS木さんである。

クルー名は、考えるのが面倒だったので『かがみもち〜ず』のままである。
この6月号が出るころには結果が出ているはずである。『みえちゃんず』との一騎打ち。 お互いが楽しめたらいいな、と思う。

最後にこの投稿は広報担当のU瀬氏から依頼を受け、【最後の締めくくりに、“11月の「第1回ジャパンレディースレガッタ」優勝を目指します!”と書いてください】と指示があったが、愛知池のレースって1000mよねぇ。どう考えても無茶である。
瀬田ローに熟女パワーあり。みなさん、今後ともよろしくお願いいたします。

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