クラブ選手権参戦記

高橋正浩

今回、クラブ選手権には4年ぶりに参加で、壮年舵手付フォア(おやじフォア)に出場した。前回の参加が、愛知運河だったので、愛知池に会場を移してからは初めての参加だ。

愛知池には、おそらく10年ぶりくらいに行ったが、会場から見える風景は以前とほとんど変わらずとても懐かしい。コースは波もなくボートには絶好のコンディションで、改めて1000mレースには良いコースだと思った。

長い一日は早朝の集合に始まった。総勢50名を越える大勢でのバスでの移動に、ちょっとウキウキとした遠足気分での出発だった。道中到着までの2時間余りを車中で暴睡したおかげで早起きによる睡眠不足を一気に解消できた。8時過ぎの到着後は、懐かしさの感傷に浸るまもなく、直ぐに艇の降ろしとリギング。ここからは遠征慣れした瀬田ローの面々の真骨頂で実に手際良く、十数台の艇の降ろしとリギングを次々に素早く仕上げていく。皆の手際良さに感心しながら、僕らフォアは、時間に余裕があり、比較的ゆっくりとリギングに取り掛かった。このとき、ここ数日、日本のどこかで毎日のように最高気温を更新するという酷暑の中で、肌に突き刺さるような太陽光線をあびながらの作業で、日頃から運動不足の僕は立っているだけで、倒れそうだった。

さあ、リギングの後は即席クルーでのリギング乗艇だ。今日の即席おやじクルーは、S京さん、3番高橋、2番黒田さん、B大迫さん、コックス今城会長といった布陣。長身クルーの出来上がりだ。といっても、当日のメンバーのうち、黒田さんがダブルエントリーでフォアの前にダブルスカルのレースに出場のため、2番に田村さんに乗っていただいての乗艇となった。即席クルーにさらに助っ人を入れての凸凹クルーだ。だが、意外にバランス、ローイングサイクル、リズムとも即席にしてはまあまあ良く、2年ぶりのフォアも「これなら漕げる」という感覚を持った。

リギング乗艇後は、レース蹴り出し時間までの間、ストレッチしながらの応援。強豪揃いの瀬田ロークルーは、続々と1位でのゴールを続けていた。その中で、今日が初のスカルレースという我がクルー2番の黒田さんも青年たちに混じってのダブルスカルで見事にぶっちぎりの優勝を遂げた。「よし僕らも続くぞ」と気持ちは高ぶった。

時間が経つのは早く、そうこうするうちに蹴りだし時間に。アップをしながら、スタート地点に向かう。艇の動きに切れこそ無いが、バランス、リズムは悪くない。(後で思うと、当たり前のことだが“切れが無い”が、最大の敗戦要因か)。“スタート用意、用意、ロー”のコールに慣れ親しんだ僕にとって “Attention…go!”に、今更ながらに、「なんだか国際レースみたいだなあ」と変な感動を覚えながら、スタートを切った。

低ピッチのスタート力漕からセトルダウン無しのコンスタントへ。1000m完漕を目標にしていた3番の僕は、整調にあわせて漕ぐことに集中し、周りの状況はわからない。スタート直後は他艇に一斉に出られていたように思うが、250m位から、両サイドの視野に他艇が入ってきた。しかし、トップの中電は全く気配無し。コックスの「中電1艇身」の声に気を持ち直して、必死に漕ぐ。もうそろそろゴールかと思ったところでようやく500m通過。ここからゴールまではひたすら長い。頭を抑えていた佐鳴会を必死で引き離そうと頑張るが、なかなか力が水に伝わらない、というか、力が出ない。750mを過ぎからはスパートをかけたいところが、そんな余裕も無く、ナチュラルセトルダウン状態でゴール。何とか佐鳴会を抑え続けて2位でのゴールだった。一緒に並漕した青年フォアにはいうまでもなく、ブッちぎられていた。僕らのおやじクルーは残念ながら優勝を逃した(遠かった)が、地力に勝る瀬田ローは、めでたく総合優勝を勝ち取った。

今回参加して、改めて思ったが、クラブ選手権は、年齢を問わず、若年から老年まで幅広く参加でき、オヤジが年齢を気にすることなく参加できるのが良い。適度なボートは、健康増進と日頃のストレス解消にとても良い。この大会を目標にすることで練習を続ける動機にもなる。今日のボートレースも、フラふらになりながらも心地良い疲れで、とてもリフレッシュできた。また、他の頑張っている面々の姿を目の当たりに見て、特に、同世代の黒田さんの頑張りには、とても刺激を受けた。来年に向けて「また頑張って力をつけ、次回こそは1位でゴールできるよう励みたい」と誓った。

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