ミュウヘン ローイング クラブ訪問

古川宗寿

今年の世界選手権はドイツ・ミュウヘンで開催されました。オリンピック出場をかけた日本チームの応援もさることながら、世界の先端ボートを見たり、そのメーカのブースを訪問することが目的です。世界の片田舎の日本でボートを作っていてはどうしても独り善がりになります。世界の進化に遅れる心配から今までもできるだけ世界の大きな大会に出かける事にしてきました。ボートの話と日本選手団の戦いは別稿に譲って、私のもう一つの楽しみである地元のローイング・クラブ訪問が今回もできましたのでレポートします。

大会2日目敗復レースが早く終わったので40kmくらい離れたStarnbg湖畔にあるローイング・クラブを同行の仲間達5人で、車で訪問してきました。海外ではどういう訳かナビ担当のことが多いのですが何度か道を間違えてしまいました。やっとクラブハウスを見つける事ができました。

ここにあるのも単に艇庫ではなくクラブハウスであることに日本のローイングクラブとの大きな違いがあります。今回もクラブ訪問でも見聞したことを日本に戻ってクラブ運営の参考にするのも大きな目的です。ここは1880年に創設され、130年近い歴史をもつ「ミュウヘン ローイング クラブ」です。週間の昼間なのでクラブ員はいなくて、30年以上この仕事をしている管理人さんに案内いただきました。

1981年(びわこ国体の年)にも世界選手権がミュウヘンで開催されて、瀬田漕艇クラブから現会員の長谷信行選手が1Xで派遣され、事前合宿ではこのクラブを利用させて頂いたとか、恩あるクラブでもあります。写真もいっぱいとりましたのでクラブハウスに張り出すつもりです。以下は主な印象です。

メインの建物は3階建で艇庫、クラブハウス、ロッカールームの階順になっていました。ミュウヘン市内に近い、湖の北端の町に位置しています。湖は20km余りの長円型で琵琶湖の南湖くらいでしょう。会員は400名がいるがよく漕ぎにくるのは200人程度で他の人はクラブの運営にかかわっているとか。広大な芝地の庭には新たに女性会員のトレーニングため平屋の建物を建てたそうです。ドイツ代表選手を何度も輩出しているこのドイツの有名クラブでも艇庫内にはエンパッカのレース艇は1x・4−・8+が各1艇程度収納されていたのみです。それ以外はほぼ、ナックルに似た形状のレクレーション、1x、2x艇の木艇が主でした。個人所有艇らしきボートも殆んど無く、会員はクラブ所有艇の低いコストで湖のローイングを楽しんでいるようです。それでも各地のマスターズ・レガッタ等にもたくさん出場して活躍しているとのことでした。日本のローイング・クラブの、ボートの贅沢さは有名で海外コーチが来日したとき艇庫をみて思わず「クレージイ!」と発するそうです。日本国内造船所のオヤジのひがみかも知れませんが、日本では高コストの海外レース艇のみを並べて、極めてブランド嗜好、クラブ員は若いレース志向者のみ、選手期間が終われば引退と称してローイングから離れてしまうと言う、このわが国の仲間達にぜひ彼らの楽しみ方を見て欲しいほしいです。

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