古川さんのお知り合いの中村さなえさん(金沢大OG)から古川さん宛に送付された最近のレポートをご厚意に甘え転載させていただきました。中村さんには2002年11月号の漕艇通信でもレポートを転載させていただいています。詩的な独特のリズムのある文章を活かすために少しスペースは取りますが文章を詰めないでそのままレイアウトしています。(by編集)

元気なさなえベルリンボート紀行

中村 さなえ

みなさん、お元気ですか? ベルリンはすっかり寒くなりました。
また、日も短くなって、最近は雨の日が多いです。
おととい(10月8日)、17時集まって、乗艇したのですが、すぐに暗くなってしまいました。
さてさて、今回は、10月4日(土)、5日(日)の「Sternfahrt RG Wiging」の様子をお伝えします。

Wiging、ベルリンの南東のクラブで大きなフェストがありました。
Wigingのクラブハウスに向けて、土曜日の朝、8時に集まりました。
私たちのクラブはWannsee、ベルリンの南西にあります。
いつものようにビックボート(大きなボート)2艇で出発です。
お天気は・・・、曇り空に時々雨。時々、太陽も見えました。かなり寒かったのですが、タイツにヤッケに合羽も着込んで、手袋や毛糸の帽子も・・・。
まずは、Wannseeからハーフェルに入り、北上します。 私は、先発コックスでした。
寒いので、みんなコックスを嫌がります。
Wannsee、ハーフェルは、よく知っているので、まずはコックスをかって出ました。
しとしと雨だったので、Wannseeは全く、波がなく、なかなかのコンデションでした。
湖水浴場の前を通り、小さな橋の下をくぐり、ハーフェルに出ます。
グリューネバルトの森の横を通り、トイフェル塔を右手に見ながら、ハーフェルを北上し続けます。
途中のボートクラブの桟橋でにつけて、一度トイレ休憩です。
寒くて、寒くて、私はタイツにヤッケの上下の上に、雨が降ってきたので、登山用の合羽を着て、手袋をしていました。 もちろんトイレに走ります。
その後、めでたく(?)コックスの交替です。 「ヤッター!!」
8kmくらいコックスしたようです。(因みにこの日は、47kmのツアーです。)
再び、出発。
次は、漕ぐのもコックスもあんまり上手ではないおばさんがコックスでした。
ここで・・・、
グミ(ゴム)モーターボートの行列です。
その横を漕ぎました。
「いつになったら、このモーターボートの列は終わるの?」とブリケッテに尋ねてみたのですが、「わからない。」って・・・。
シュパンダウを通り、テーゲル(空港のあるところ)に向かいます。
まわりは、大きな工場が多く、Wannseeの美しさを再確認しました。
さて、テーゲルに入りました。
ハーフェル川からシュプレー川に入ります。
コックスの交替です。
水門を通ります。
コックスは、よく分かっているブリケッテです。
水門のこちらと向こうの水位が違うので、待っている間にコックスの交替。
そして、ぞくぞくとビックボートが集まってきました。
みんなWigingを目指しています。

水門を通り、シュプレー川に入りました。
「ここは、ランゲシュトレッケレガッタのゴールだよ。」とブリケッテが解説してくれます。
そう、今年も漕ぎますよ。「シュプレー川ランゲシュトレッケレガッタ」(7kmのロングレースです。)

シャルロッテンブルク宮殿のお庭を過ぎた辺りで、一度上陸、お弁当です。
パンにレバーパテ、チーズ、キュウリをはさんで持ってきました。
お腹がペコペコでおいしかった・・・。
ここで、みんな、おしっこするところをさがしてウロウロ・・・。川沿いの散歩道の木の茂みで、みんな用を足すのでありました。もちろん私も・・・。

出発。
太陽が出て、暖かくなってきました。
ここからは、ベルリンの街の中を漕ぎます。
ジーゲスゾイレも見えます、文化フォーラム、ブレビュー宮殿、ライヒスターク(国会議事堂)、博物館の島などなどベルリン観光をしながら、たらたら漕ぎ続けます。
ベルリンドーム(大聖堂)を左手に見て、ニコライ地区を右手に見て、またまた水門です。
水位が変わるまで待ちます。
続々とビックボートがたまってきます。
みんな、Wigingを目指しているのです。
ワクワク・・・。

さて、ベルリン東の中央駅の前を通り、イーストサイドギャラリーを見ながら漕ぎます。
ベルリンの壁に絵が描いてあるイーストサイドギャラリーを裏から見ました。
みなさん、知っていますか?!!
なんと、裏にもずーっと絵が描いてあるのです。
私は、初めて知りました。
大発見!!
オーバーバウム橋(映画「ベルリン天使の歌」のローラがかけぬけた橋です。レンガづくりのステキな橋です。)の下をくぐり、大きな人型のモニュメントの真横を漕いでいきました。

あと10kmくらいというところ、プレンターバルトの公園の辺りで、上陸、休憩です。
ビアガーデンに入り、休憩しているボートもありました。
うらやましい・・・。我がクラブは、クーヘン(ケーキ)で休憩です。

そして、出発しようと、コックスのおばさん(このおばさん、かなりベテランで、慣れた感じだったのですが・・・)が、ボートに乗り込むのに失敗。
かなりの衝撃が、ボートにかかってしまいました。

ここで解説・・・。
上陸するとき、桟橋のないところにあがることがよくあります。
パドルハーケンという、小さな丸いオール(先は木の根っこや出っ張りに引っかけられるような造りになっています。)を使って、どこにでも上陸するのです。
この場合、乗り降りが、非常に難しいのです。

な、な、なんと・・・。
ボートのそこが割れたようです。
水がどんどん入ってきます。
「どうしよう、こうしよう。」と議論が始まりました。
「とにかく、ボートをどこかに上げなくてはならない。」ということで、近くの3kmくらい先にあるボートクラブに上げることにしました。
最初は、ブリケッテと私が、2人で漕いでいこうとしていたのですが、浸水が激しく、危ないと言うことで、もう1艇のボートに結びつけて、引いていってもらうことになりました。
ブリケッテと私は、そのクラブに先に到着するために走りました。
おばさん達は、ゆっくりと歩いてきます。

ブリケッテが事情を話すと、皆親切に浸水したボートを上げるのを手伝ってくれました。
Wigingとこのクラブの間を、この日、スタンフリの24人乗りのスカルボートが行き来していたので、たくさんの人がこのクラブハウスにいました。
とにかく、浸水したボートを上げなくてはならないので、ゆっくりその珍しいボートを見ることは出来なかったのですが、人々の親切さに感動・・・。
日本人の私のことが珍しいようで、「どこから来たんだ?」と尋ねられました。
「Wannseeから・・・。」と言ったら、笑われてしまいました。
「日本から・・・。」と答えるべきだったようです。

結局、私たちのクルーは、このクラブの人達に来るまでWigingまで送ってもらいました。
24人乗りスカルに乗ってきた人達です。
「みんな、Wigingのフェストに行くから乗っていけ・・・。」って、ベンツのワゴン車に11人乗って行きました。
すごいでしょ。
ドイツ人ばかりで、大きいのに・・・。
私は、一番小さくて、後部座席の隙間(?)に座りました。

Wigingに到着。
ビールを1杯。ブリケッテが買ってくれました。
すぐになくなったので、もう一杯。
お礼に、ブリケッテにクーヘンを買いました。
私はサーモンのバケットを食べました。

もう1艇のボートが到着し、この日、ボートをこわしてしまったおばさんが、みんなにお詫びにとビールをご馳走してくれました。

クラブハウスには、ベルリン中のクラブのブレードがかかっていました。
2回のカフェはもちろん、1回のボートをおいてあるハレもみんな、ビアホールのようになっていました。
写真を見て下さい。(←この写真は今回頂戴せずby編集)

この日は、47kmのところアクシデントのために、37km位漕いだのかな?3、4kmは走りました。
そして、ビールをたらふく飲んで帰宅したのでありました。

翌日は、ここから南下し、Wannzeeにもどってくるツアーでした。
私は、弟夫婦がベルリンに遊びに来ていたので、土曜日のみの参加でした。

それでは、みなさん、お元気で・・・。

件名 : 元気なさなえベルリンボート紀行(写真付き)

みなさん、お元気ですか? 日本では、全日本新人が終わったようですね。
いよいよシーズンオフでしょうか???

ベルリンもすっかり寒くなりました。
今年も出ました。シュプレー川のロングレース(?)に・・・!!
正式名称「74.INTERNATIONALE LANGSTRECKEN REGATTA」です。
INTERNATIONALEですよ。
コペンハーゲン(オランダ)、ミラノ(イタリア)、ロンドン(英国)、ウクライナをはじめ、ドイツの各地からたくさんのクルーがやってきていましたよ。
そして、前回もレポートしました24人乗りのスカルが、7kmのコースの途中で応援してくれたのでありました。

10月8日、水曜日、コックスのカローラ(我がクラブの会長さん。ギムナジウムの> 副校長先生。小柄で名コックスです。)も一緒に練習の予定でした。
・・・しかし、ヴァレスカとカローラは風邪でお休み。
気温10度前後、雨もかなり降っていましたが、トーマス(ベアーテの彼)とトーマスのクラブのおじさんに乗ってもらって、練習しました。
17時からの乗艇でしたが、すぐに暗くなってしまいました。
雨もかなり強くて、いつもより短く13kmの乗艇でした。
その後、ボートをトレーラーに乗せるために、リガーを外したり・・・、ぬれたままの作業が続くのでありました。
寒かった・・・。

10月10日、金曜日
ベアーテから電話。
このレガッタ、スタートとゴールとは7km離れているので、自転車では行かない予定だったのですが・・・、「自転車に乗ってくるように・・・。」との電話でした。
12時にボートを降ろしてから、13時25分のスタートまでの間、スタートから比較的近くにすんでいるベアーテの家で、クーヘン(ケーキ)を食べて、お茶を飲むために、自転車で移動するのが、速くて良いと言うことでした。
それで、みんなの自転車はどうするのかというと・・・。
トーマス(ベアーテの彼)の大きなワゴン車で、ゴールまで運ぶのでありました。

10月11日、土曜日
11時に家を出ました。自転車で・・・。
ウンターデンリンデンでSバーン(市電)を降りて、自転車です。
観光地ブランデンブルク門を自転車でくぐり、ライヒスターク(国会議事堂)の横を自転車で走り、スタートの文化フォーラムに向かいます。
11時45分頃、トレーラ付近に到着。
ちょうど、ベアーテが自転車を止めていたので、同じ場所に一緒に止めました。
ハイケ(彼女は、私たちのクラブで一番強い大きな女性です。今回はドレスデンから来るクルーのコックスをするのでありました。)が「おはよう。」って・・・。
なんで、もうお昼なのに「おはよう。」なんだ???と思っていたら、彼女の方から「私は、お昼になるまで、いつも「おはよう。」なのよって・・・。

ボートを降ろして、リガーをつけて、準備万端整えて、予定通り、みんなで自転車に乗り、ベアーテのボーヌングに向かいます。
ブレビュー宮殿の前を左に曲がり、ジーゲスゾイレ(戦勝記念塔)にぶつかったところで、右に曲がります。
みんなすごいスピードで自転車をこぎます。
私の自転車は小さいので(タイヤが小さいのです。)、大変!!
しかし、最近はずうずうしくなって、たらたら遅れてこいでついていくのでありました。

ベアーテのボーヌング。
とっても広くて、きれい!!
トイレも2つもあるの!!
前に聞いたのですが、私のボーヌングと同じくらいの家賃(私は、かなり家賃の高いところに住んでいるのです。)なのです。
彼女、Dr.ベアーテですから・・・。製薬会社に勤めています。名刺には「Dr.」ってあるんですよ。
彼女の手作りブルーベリー入りのチョコマフィンを食べながら、ティータイムです。
ブルーベリーが甘酸っぱく、マフィンもしっとりしていて、かなりの美味。
2個も食べてしまいました。
大きな部屋に、大きな観葉植物がいっぱい・・・。
「引っ越しできないね。」って、ヴァレスカが話していました。
(ドアを通らないような大きな木があったから・・・。さらに「寝室にはもっと大きな木がある」って、ベアーテが言っていました。)
トーマスの家の庭で穫れたというぶどうも食べました。
酸っぱかったけれど、自然の味って感じでとてもおいしかったです。

着替えをして、ボートに持ち込む荷物にカメラを入れていたら、ヴァレスカ「漕ぐだけだよ。カメラはいらない」
ブリケッテ「ヴァレスカのストレッチャー(足を入れるところ)のねじを締めている間に、Sanaeは写真を撮るのよ。」
みんな・・・大笑い。
なぜなら、去年、ヴァレスカはストレッチャーのねじを締めるために、何度も漕ぎ止めたのでありました。
今年は、そんなことがないように、トーマスがねじの間にかませるビニール製のワッシャーを持ってきてくれました。

14時。

右から3人目が中村さん

ジョギングでスタートに向かいます。
雨が降ってきました。ひえー・・・。
自転車は、トーマスの車の中、ヴァレスカは「風邪だから・・・。」と言って、自転車です。
彼女は、走るのが嫌いなのです。
一番若くて、大きいのですが・・・。
シュプレー川沿いを走りました。
すでにスタートしているボートに、次々出会いました。

ボートを水に浮かべるまで、どんどん寒くなってきて、再び走りました。
みんな、よく走るのです。

15時25分、スタート。
雨は、あがっていました。
クラブのおばさんが大きな声で応援してくれていました。

「5200m」の標識を見ました。
「やったー!!もう、5200mも漕いだのか。あと1800mだ。」と思っていたのですが・・・。
途中で、「あと5200m」の表示だと分かりました。
その後、漕いでも漕いでも、終わらないのです。
「かなり漕いだ。もう、腕もパンパン・・・。体がバラバラになりそう・・・。」
と思いながら、ふと橋を見ると・・・「3500m」。
あと3500mなのでした。
「えええーーー。あと半分もあるの???!!!」
ベルリン生活3年目、これで最後だと思って、最初からガンガン漕ぎました。
もう、ヘロヘロです。
しかし・・・、絶対最後まで、力一杯漕ぐのです。そう、自分に話しかけながら、漕ぎました。
コックスのカローラが「さなえの最後の年だよ。」と言ってくれていました。
うれしくなって、頑張って漕ぎました。
何回も観光遊覧船に会い、ぐらぐらしましたが、しっかりブレードを水の中に入れて、足で漕ぎました。

スタートから、何回も橋の度に声をかけてくれるおばさん。
トーマスの応援。
そして、24人乗りスカルの人達の応援。
いろんな声に力づけられて、ゴール!!
つかれたー!!
7km全力で漕ぎました。

ボートを上げると、クラブのおばさん達がたくさんいて、いつものようにおばさん達のお手製のクーヘンと木の実とヌース入りのグリューワイン(温かいワイン)をいただきました。
この頃、ひどく雨が降ってきたのですが、グリューワインのカップを片手に、ボートのリガーを外して、片づけるのでありました。
クーヘンはシュナップス(アルコールです。)たっぷりのアイアークーヘン(卵ケーキ)。
クーヘンにグリューワインを2杯も飲んだら、寒かったのですが、気分が良くなってポカポカしてきました。
ボートをトレーラーに積んで、後は結果を待つばかりです。

まだまだゴールには、どんどんボートが入ってきます。
トーマスが、クルーのみんなとクーヘンのおばさん達にビールを買ってくれました。
みんなで、ゴールに入ってくるボートを見ながらビールを飲みました。
ああ、おいしい。
漕いだ後のビールは最高です。
ビールを飲んで、おしゃべりをして、寒くても、雨が降ってきても(ボートは自然の天気はスポーツ。こんな天気は当たり前。自然だ。すばらしい。・・・のだそうです。)、みんな全然構わず、しゃべり続けます。
私もすっかりそんな雰囲気に慣れ親しんでいます。

さて、いよいよ表彰式が始まりました。
エイトや、若者のクオド、連邦議会の人達のクルーの紹介やマスターズのクラスまで、たくさんのクラスがあります。
私のクルーは、マスターズA(35歳まで)のクラスです。
さあ、いよいよ女子のビックボート4人漕ぎスカル、マスターズAクラスの結果発表です。
「フラウエン ルーダークルップ ヴァンゼー・・・・」。
やったー!!
やりました。1等賞です。
過去2年、いつも2等だったのですが、とうとう1等です。
うれしいです。
「LRV Berlin」と書かれたメダルを獲得しました。
ちゃんと表彰台があって、表彰台の上にものりましたよ。
「どこから来たのか?」と聞かれたので「日本。」と答えました。

大満足の1日でした。
トーマスの車から自転車を降ろした後、ヴァレスカとコースの簡易トイレに入って、のんびり帰ってきました。

10月12日(日)
ボートをトレーラーから降ろして、また17km漕ぎました。
やはり昨日の疲れが残っていましたが、お天気がよくて、とっても気持ちよかったです。

それでは、日本の皆様、お元気で・・・。
ベルリンは、すっかり日が短くなってしまいましたので、これから週末だけの乗艇になりそうです。
そして、ウイークデーは、大嫌いなエルゴ??!!ですが、ベルリンボート生活を楽しみます!!

ベルリンより

この文書の情報