トライアルに出て【自分の日誌から】

加納慶達

十二月十日(金)

五時起床。五時五十分瀬田ロー着、六時過ぎ出発。久々の遠征。四人乗りの二トントラックで、トライアルに出るみんなで移動。やっぱこういうのってワクワクするものだ。天気が心配されたけど、だんだん良くなってきて、静岡ではほんとにきれいな富士山が拝めた。あんなにはっきりとした富士山は初めて見た。感動だった。首都高で渋滞に遭った以外は順調で、二時半に戸田着。積み下ろして、着替えてすぐリギング。意外とすぐに角度が合ってくれて、四時前には乗れた。久しぶりに戸田で漕いだけど、水中がやたら重く感じた。艇速も出ない。なんだかすごく恥ずかしかった。周りを見るとあまりに自分が恥ずかしかった。周りというより、自分自身の問題だと思うけど、このレースでやってやるって思うまでの自信が無い。自分を信じられない。自信ってのは、目標があって、それに向かって努力を積み重ねて、練習の中で培っていくものだ。今の自分は、信じられるだけの練習をしてきたとは思えない。でも今の自分にできる限りのことをやるしかない。とにかく最後までちゃんと漕ぎ切りたい。そうすれば、何か得られるような気がする。もともとヘッドを棄権して、なんかスッキリしないとこがあったので、このトライアルに出ることを決めた。もう遅いが、もっと自分を磨き抜いてここに来たかった。けど、やる前からこういうこと考えるのは良くないと思うし、とにかく明日やるからには全力を出し切ろう。最後まで頑張る。

十二月十一日(土)

五時半起床。六時蹴り。ちょっとだけ乗った。それから朝ごはん食べて、ちょっと休憩して九時半に受付。十時くらいからアップして、十一時前に蹴り出し。前の組のラストを見てたら、みんなめちゃめちゃしんどそう。そして十一時半、自分の組がスタートし始めた。自分は十一番目のスタート。最初からガンガン行こうと思っていたので、セーブなんてしなかったのだが、すぐに次の人に捕まった。艇速がみるみる落ちていく。レートも落ちた。漕ぎが崩れてきて、次々と抜かされていく。散々な結果に終わった。全力は出したが、ベストではなかった。ただ最近の練習で、来年の自分のビジョンが見えず、何に向かってやっているのか明確に無い状態だったのだが、今日見えてきた。あぁ、ここが自分の戦場で、こいつらと勝負してるんだなって思った。そしたら、これからどういう練習をしていきたいのか、自分がどういう選手になりたいのかとかいろいろな思いが込み上げてきて、めちゃめちゃやる気が出てきた。結果はひどかったけど自分のいる世界を再認識できたという意味で、行って本当に良かったと思う。

帰りはまたトラックで。みんな疲れきっていたようだった。瀬田に着いたのは九時過ぎ。長い一日だった。一日でこんなにいろいろなことがあるのも珍しい。今日はゆっくり休んで、また頑張っていこう。

【高速道路から見えた富士山】

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