世界選手権雑感

The Coach's Corner Vol.12

坂本剛健

 どうも、The Coachです。今年も世界選手権が終わり、帰国いたしました。今年の結果は日本ナショナルチームの歴史の中で最高のものだったとか。昨年のアジア大会のときもそういう事を言われましたが、昨年からナショナルチームに関わりだしたこの新入りの身としてはいまひとつ実感がわかないのです。個人的には、担当した両クルーとも決勝には進んだものの、狙っていたメダルが獲れず、非常に残念でした。わざわざ日本から応援に来ていただいた方々にも申し訳ありませんでした。  いよいよ来年はオリンピック。9月中は瀬田でウロウロしていますが、10月の国体後から再び戸田を中心に活動を始めます。

さて今年の世界選手権はいつもよりも出漕クルーが増えました。なぜかと言うと、オリンピックの出場枠は限られており、オリンピック前年の世界選手権である順位以上(LM2xなら11位以上)にならないとオリンピックに出られないためです。更にアジア大陸枠や来年6月に行われる最終予選での枠があったりするのですが、今年獲っておくに越したことはありません。それを獲得するため各国が一気に参加を増やしてきたわけです。それに伴って往年の名選手の復帰が目立ちました。パッと目に付いただけでもデンマークのエスキルド、オーストラリアのトムキンス、ブルガリアのネイコバ、ルーマニアの女子選手たちなど・・・。もちろんみんなもういい年です。エスキルドは僕と同い年(35歳)。トムキンスにいたっては42歳!女子選手も30後半の選手も少なくありません。もう若くない、しかもブランクのある状態から現役に復帰してくるのは相当苦労すると思います。もちろんレベルは全く違いますが、例えば僕が今からまた全日本で優勝をめざすようなものでしょう?ん〜ありえない。しかし、オリンピックと言うのはそうしてまで出たいほど魅力のある大会なのでしょう。  このように、ここ最近の傾向として、トップ選手の年齢上昇があります。もちろんそれらの選手は若い時から活躍している、いわば世界レベルでもexceptionalな選手ではあるのですが、それでも今までの常識で考えると無理だろうと思われる年齢でも世界のトップを張り続けています。金銭的なサポートを受けやすくなりフルタイムでのトレーニングが可能な状況が揃ってきたと言うこともあるのでしょうが、適切なトレーニングを積めば、我々が思っているほど加齢による競技力低下は起こらないということです。むしろ、世界記録が更新され続けている事をみると、競技力を向上し続けることが可能であるとさえ言えます。

日本の現状もそれを裏付けています。今年のナショナルチーム(男)は平均年齢が30歳でした。大学生は0名です。しかし一般的な傾向としては、才能のある選手でさえ、大学卒業と同時に競技としてのボートを辞めてしまう事が非常に多いのです。続けること、そのこと自体が重要な才能の一つなのだなぁと思わされます。それと同時に、ボートを続けられる環境を整備していく必要性も感じています。滋賀県にも女子選手がオリンピックを目指して続けられる環境をつくらなあかんなぁと漠然と考えています。

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