総合化地域スポーツクラブに向けて 〜カヌー部の新設について〜

今城 律雄

9月理事会において今後のクラブの発展を目的として、瀬田漕艇倶楽部の総合型地域スポーツクラブ化に向け、カヌー部を新設することになりました。

1.「総合化地域スポーツクラブって何?」

昨年11月の運営委員会において内田君から報告いただきましたが、総合型地域スポーツクラブといいう正式な定義はありません。一般的にいわれる特徴としては

などが挙げられ、これらの要件を満たしていれば「総合型地域スポーツクラブ」といえます。ざっと調べたところ既に全国で300団体が設立、現在設立準備中も含めると350団体程度になります。滋賀県では2団体が既に設立されていますが、現在創設支援を受けている団体は15団体ほどあります。

2.瀬田漕艇倶楽部の現況

瀬田漕艇倶楽部の現況を顧みると、瀬田漕艇倶楽部はボートのみの単一スポーツクラブであり、(3)多種多様な複合スポーツ種目という範疇を満たしていません。今月の岸本理事の投稿にもありますように、近年会報に掲載されている倶楽部として取り組んでいるボート以外のスポーツ行事としては唯一大津市民駅伝のみでした。しかし、今年は2月の大津市民駅伝出場、6月のクラブ内カヌー体験教室、9月のドラゴンボートスプリント選手権出場、11月のHead Of The Setaへのカヌー種目採用とクラブとしてボート以外のスポーツにも積極的に取り組み始めました。今年初めて行ったカヌーおよびドラゴンボートに参加いただいた会員の方々からは、「面白かった」「来年もまた出場したい」「ボートを漕ぐときと視点が変わった」などのご意見をいただきました。

また(6)の「地域に根ざした」という部分も滋賀県といった大きな範囲で捉えれば問題ありませんが、非常に限られた地域、例えば倶楽部が所属する浜口自治会の会員数から考えると課題が残っています。現在、大津市広報および浜口自治会へのボート体験教室の広報に取り組んでいます。

それ以外については、基本的には「総合化地域スポーツクラブ」の要件を満たしているといえます。

3.行政の支援

総合型地域スポーツクラブの発想は、ヨーロッパのスポーツクラブがモデルになっており、当初は文部科学省が推進、支援を行ってきました。現在では日本体育協会、および各都道府県、市町村の体育協会が推進、支援を行っています。滋賀県からは倶楽部に対し、これまで会員の国体などでの好成績に対し、クラブ指定強化補助費を支給されています。しかし、普及的な側面で考えた場合、滋賀県や大津市の支援は「総合型地域スポーツクラブ」に視点が行っており、既存の単一競技団体である瀬田漕艇倶楽部にはそのような情報もなかなか回ってこないのが現状です。今後、倶楽部が抱える問題(倶楽部進入路確保、将来のクラブハウス新設など)を解決し、継続的に発展していくために、行政からの支援も視野に入れた活動に取り組む必要があります。

4.カヌー部の設立について

昨年11月の運営委員会では「他団体との連携による総合型地域スポーツクラブ化」よりも現在の倶楽部の活動を充実していく方がいいのではないかという結論に達しました。しかし、今年度の倶楽部におけるボート以外のスポーツの取組み、全国の総合型への移行、それに対する行政の支援の動向を勘案すると、瀬田漕艇倶楽部の継続的発展のためにも総合型の時流に乗らないのは時代の流れに逆行すると考えられます。すでに数多くの総合型地域スポーツクラブが設立されていく中、理事会では瀬田漕艇倶楽部が滋賀県(琵琶湖)という地域の特性、クラブハウスを生かしたスポーツとして「水上スポーツ」に特化した総合型地域スポーツクラブとしてカヌー、ドラゴンボート、ヨットなどの水上スポーツの種目が挙げられました。この中でもカヌーは同じ練習水域であること、カヌー協会理事長でもあった小川定雄氏や経験者の中村功氏の存在、全国的にもカヌーのクラブチームはほとんどなく、琵琶湖、瀬田川での高校、大学経験者の受け皿になりえることなどから、まずはカヌーを始めることになりました。既に小川氏および澤田さんから倶楽部にポロ艇を寄贈していただいており、共有艇として使用可能な状況です。今後カヌー部創設にあたり具体的な方針、方向性については小川氏、中村氏、社会貢献事業担当の岸本氏、上原氏を中心にして決定していただく予定になっています。

5.今後の展開

理事会でも挙がりましたドラゴンボート、ヨットや、陸上スポーツではありますが、駅伝や一部の会員が取り組んでいる自転車なども選択肢としては考えられます。また組織の新設や設備の充実なども課題に上がってきます。昨年から議論し、徐々には取り組んできたことですが、余りに唐突ではないかというご意見もあるかと思います。もしもそのようなご意見がございましたら、是非とも倶楽部の理事や理事会にお寄せいただきたいと思います。またそれとは逆に「こんな取組も面白いのではないか」というご意見でも結構です。 瀬田漕艇倶楽部はクラブを「倶楽部」と記載しています。当て字ではありますが、文字通り「ともに楽しむ団体」という意味です。また昨年策定したコミットメントの一つである「地域スポーツ文化の創造にチャレンジしています」にもあるように、今回のカヌー部新設を契機にして、会員が共に楽しめる場を提供するとともに、倶楽部がさらなる発展をしていくことができればと考えております。

この文書の情報