世界選手権初日のレース概況

By Melissa Bray

2005世界選手権が本日より岐阜県でスタートした。レースは時たま微風が吹く程度といった最高のコンディションの中行われている。以下これまでに行われた各種目のレースの概況。

LW1x

この種目には19ヶ国がエントリーし、2艇上がりの予選4レースが行われた。

1組目はLaura Tasch(独)がレート34で飛び出したが、経験不足ということもあるのか、次第にBenedicte Luzy-Dorfman(仏)、Teresa Mas De Xaxars Rivero(西)の後塵を拝するようになる。最後はLuzy-DorfmanとMas De Xaxars Riveroが100分の1秒差でゴールに飛び込み、準決勝進出を分け合った。

2組目は、ルツェルンに優勝しこの種目本命と目されているMarit Van Eupen(蘭)がトップでゴール、2着には23才のIsmaray Marrero Aria(キューバ)が入った。彼女はワールドカップ第1戦のイートンでメダルを獲得している。

3組目はLea Fluri(スイス)がスタートからトップを譲らずゴール。次に入ったMirna Rajle(クロアチア)は代表選手11年目のベテラン。今回が国際大会初出場となるMarika Page(米)は経験ある2人に予選突破を阻まれた格好。

4組目ではJo Hammond(英)とChrysi Bisskitzi(ギリシャ)が終始レート35で競り続け、予選トップタイムを叩き出した。

LM1x

20ヶ国が出場したこの種目の1組目は、Vasileios Polymeros(ギリシャ)がレースを引っ張り、Paulo Pereira Dos Santos(ポルトガル)はそのペースに前半1000mついていき2番手を確保した。

2組目はアテネでLM4-に出場したGerard van der Linden(蘭)、昨年のU-23で優勝したMarcello Miani(伊)、2003年2004年とU-23のLM2xで優勝したPeter Loerinczy(ハンガリー)による三つ巴の戦いが繰り広げられた。最後はレート39で漕いだLoerinczがMianiに先んじて2着に、1着はVan der Lindenだった。

3組目は今年で引退するIngo Euler(独)が有終の美を飾るべく1着でゴール、2着のTim Eichmann(スイス)も他艇に大差を付けての予選突破となった。

4組目は今年のU-23チャンピオンZac Purchase(英)が、浦和重(日本)、Rolandas Kazlauskas(クロアチア)とつば競り合いを演じる展開。浦は観客からの大きな声援を受けたものの不運にも敗者復活回りとなった。

W1x

各組上位3クルーが予選突破になるW1xでは、1組目はMirka Knapkova(チェコ)、2組目はEkaterina Karsten(白)がそれぞれ順当にトップで通過したものの、3組目でアテネファイナリストのNuria Dominguez Asensio(西)が敗者復活に回るという波乱があった。

Karstenは他選手に大きく水を空けるものと目されていたが、Michelle Guerette(米)が善戦し1艇身差に迫るときもあった。

3組目を制したのはアテネにW2-で出場したSophie Balmary(仏)だった。2,3着に入ったPeggy Waleska(独)とAnnie Vernon(英)はともにシーズン中通して行われた主力クルーの選考に落ち、この種目に出場している。

M1x

各組1着クルーのみが予選突破。1組目は元ジュニアチャンピオンのAleksandr Kornilov(露)が早い展開のレースを仕掛けたが、1000m手前でMahe Drysdale(ニュージーランド)につかまり、レースはDrysdaleがそのまま逃げ切って予選を突破した。

2組目は、アテネM2xに出場し今季この種目でワールドカップを2度制しているOndrej Synek(チェコ)が余裕を持って通過した。2着のTim Maeyens(ベルギー)は予選通過が困難になった後半、力を緩めたように見える。

3組目はU-23チャンピオンSjoerd Hamburger(蘭)がアテネチャンピオンOlaf Tufte(ノルウェー)を一瞬脅かすレース展開となった。執拗に食い下がるHamburgerに対してTufteは1250m地点からショートスパートを仕掛け、ようやく予選突破を手にした。

4組目、元世界選手権王者Marcel Hacker(独)にはアテネのAファイナルを逃した苦い経験がある。今回の予選はLassi Karonen(スウェーデン)との一騎打ちとなった。Karonenもよく頑張り、中盤では彼がHackerの頭を押さえる展開となったが、再び差し返したHackerが1着でゴールした。

W2-

予選2組が行われた。1組目ではオーストラリアが今季イートンでの勝利がフロックでなかったことを証明した。まだ組んで間もないアメリカクルーを後半上回ったオーストラリアが予選通過。

2組目ではアテネファイナルクルーのうち唯一今季も出場しているニュージーランドが、今季ルツェルン優勝の実力を見せ付けた。同じ組に入ったルーマニアはアテネ金メダルクルーから新しく入れ替わっての挑戦だが、大差を付けられて敗者復活に回った。

M2-

各組予選突破は2クルー。1組目はBeppe De Capuaが監督を務めるイタリアが、スタートを飛び出したアメリカを長くなめらかなストロークで捉え、その後も順調に1着でゴール。残る1枠は最後のスプリントでアメリカを差しきったカナダが確保。

2組目はクルーの2人ともがワールドカップで優勝しているニュージーランドが1着に入った。イギリスとチェコが2着争いを演じ、次第に優位に立ったイギリスが2着でゴール。

3組目はアテネ後の静養を明けた南アフリカがレースを終始リードした。彼らは自国の主力選手であり、アフリカ勢として最も成功しているクルーでもある。2着にはギリシャ。

4組目はアテネ銀メダルのクロアチアが1着でゴール。彼らに果敢に挑んだスロベニアも予選突破。

W2x

先のルツェルンでニュージーランドはブルガリア相手にここ3年で初めてレースを落とした。それからの6週間、ニュージーランドは冬の自国で調整し、ブルガリアもまた自国でタイムトライアルを繰り返し、NeykovaがW2xと彼女の主戦場W1xのどちらで出るべきかを検討してきた。 この日の予選では両クルーともそれぞれの組を余裕で通過したが、タイムはブルガリアが2秒半上回った。ただニュージーランドがレート26でゴールラインを切っていることを考えると、勝利の行方はやはり混沌としていると言える。

M2x

19ヶ国が出場し2杯上がり4レースの予選が行われた。

1組目はドイツがトップ。2着争いは激しいものとなったが、序盤4着だったハンガリーがまずセルビアモンテネグロを抜き、さらにアメリカを抜いて、この争いを制した。

2組目はシドニー金/アテネ銀のスロベニアが1着。ベルギーが2着。いずれもAファイナルを見据えている。

3組目はアテネ金メダルクルーからメンバーが入れ替わったフランスとウクライナが、ポーランドの猛追を退けて予選突破。

4組目はロシアとイタリアの一騎打ちの様相を呈した。いずれのクルーも準決勝へと進出。

M4-

1組目ではオランダがイタリアと接戦を演じた。上位2クルーが予選突破だが両国とも譲らず、オランダは予選トップタイムを叩き出した。

2組目ではスタートこそスイスがトップを奪ったものの、やがてイギリスが逆転。イギリスはそのまま1着でゴール。一方2着争いはチェコとスロベニアがともにスイスを凌ぎつつ激しく競り合った。結局チェコが2着に。

3組目はアメリカとデンマークが予選突破。ニュージーランドがスタートから飛び出るという仕掛けを見せたが、後半疲れの見えたところを逆転した。両国にとってこの日唯一の準決勝進出クルーだった。

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