「確信」とは?

全日本男子ダブルスカル バウ 嶋田宏之

5/31

仕事を終え新幹線に飛び乗る。結構忙しい時期だっただけに後ろ髪を引かれる思いだ。夜の10時前には現地に到着し、シャワーを浴びてさっさと寝る。

6/1

早朝。自分達の艇を見る。何かおかしい。昨日の昼に現地入りしていた相方の内田君がリガーを付けて、リギングもしてくれていたのだが何かおかしい。あっ・・・僕のリガーじゃない。

紆余曲折の末どうにかもとの状態に戻し、早朝練習で艇の動きを確認できた。(※詳しくは経験と思い込みで語る艇管理講座第9話参照)

6/2 全日本選手権予選

スタートで出遅れることも無く、無難に一位通過。

ここで、いつものように艇計量を行うつもりで計量会場へ艇を上げると「え?瀬田ローさんは呼ばれていましたか?」と役員さんに言われる。「は?」全ての予選通過クルーが計量の対象になっているわけではなく、ランダムで決定しているとのこと。さらに詳しく話を聞くと、今までの大会でも要綱上はそうなっていたが、基本的に通過クルーを対象にしていたとのこと。「へぇ」(※経験と思い込みで語る艇管理講座第5話参照)

6/3 全日本選手権敗者復活

瀬田ローのクルーは女子ダブルが勝ち進んだ。

坂本コーチに「慣れん奴が走るな!!」と怒られながら彼女たちのレースをスタートから走って追いかけた(500m以後徒歩)。

瀬田ロー男子クオドのレースの時は寝ていた・・・ごめんm(_ _)m。

6/4 全日本選手権準決勝

スタートで出遅れてしまったが、1000m付近では相手の船影が視界に入っていた。その後一気に差を縮め1200mでは勝ちを“確信"した。

レース後艇を洗っているとNHKから取材があった。ボート競技の実況解説者がネタを探しに回っているとのこと。「今回は前回の忘れ物(優勝カップ)を取りに来ました。」とか「スタートでカメラ外に遅れたとしても後半出てきますよ。」などと答える。そうした中、『瀬田ローの紹介を絶対してくださいよ!こういう時こそマスコミの力を借りましょうよ!!』と前から近藤君にきつく注意されていたのを思い出したので「大学卒業した後も、企業チームに入らなくても、ボートを続けられるのは瀬田漕艇クラブのようなクラブチームがあるおかげっす!!」「うちのクラブには月に一度艇庫を訪れるボート愛好家から、毎日練習して日本一を目指す選手まで所属しているっす!年齢も小学生から80代の方まで揃っているっす!!」「200人の会員の声援が僕たちの背中を後押ししてくれているっす!!(背中を押すと艇速減速?!)」と手当たり次第思いつくことを伝えた。この時、明らかにメモ帳の大部分に修正を加えていたのを確認した。

これで明日一番でゴールラインを切れば瀬田ローの知名度も一気に上昇だ!!“確信"した。

6/5 全日本選手権決勝

適度な緊張感と適度な集中を感じていた。遠路はるばるやってきた藤原やす君、安井えみちゃん、山崎後輩、玉川パパ、山本一家・・・多くの人が僕たちを応援していてくれた。

スタートのコールがかかる。均衡するレースではスタートで出遅れることが命取りになっていることは昨年のレースで痛感していたのだが、今年もスタート500m時点で最下位。しかし、1000m付近では全てのクルーが視界に入り、その後もじりじりとその差を縮めていき、今年の優勝を“確信"した。

「・・・うぁ。3位」

6/10

全日本から一週間が過ぎようとした金曜日。課長から一言「調査票は今日中に出してや〜」

調査票とは、毎年提出している書類のことで、異動先の希望等も記入することになっている。基本的に新採は3年おきに職場が変わることになっているので、来年からは職場環境が変わると思われる。

異動先が正式に決定するのは来年の3月。

どんな環境に移ったとしても自分は全力で生活していくことを“確信"している。

あてにならない“確信"だけど(^^:)

“かくしん【確信】かたく信じて疑わないこと(『広辞苑』より)"

この文書の情報